地方分権と福祉

学校図書購入費はどこへ行った?」に続いて、地方分権の話です。

5月15日の週刊東洋経済地方分権と福祉をめぐって、お二人の有識者への面白いインタビューが掲載されています。

まず、神野東京大学名誉教授の議論です。

「そこで忘れてはならないのは、何のための改革かということだ。

一括交付金化は、住民がよりよい暮らしを送ることができるようにするための改革であり、住民のことは住民が決めるという補完性の原理が基本にある。その原点を忘れた場合、とんでもない方向へ行く可能性もあるだけに、きちんとしたビジョンに基づいて改革を進めていく必要がある。」

インタビューということもあり、よく分からないのですが、改革を進める側がきちんとしたビジョンに基づいて改革を進めても、主権を獲得した地方自治体がうまく運営してくれなければどうにもならないような気がします。ただ、単純に一括交付金化すれば自動的に何もかもうまくいくわけではないというご認識はあるようです。

もうお一方は、慶応義塾大学の片山教授、というか、元鳥取県知事さんです。

「国がさまざまな規則で自治体を縛ることは、本来は好ましくない。理想を言えば、義務付け、枠付けはないほうがいい。しかし、今のように民意が反映しにくい地方政治が続く中で義務付け、枠付けを無造作に取っ払えば、子供や高齢者、障害者など弱い立場の人たちがますます脇に追いやられかねない。

こうなるのは、改革の手順を間違えているからだ。首長の権限や発言権を強めることよりも、まず住民自治を強化することが最も大切だ。」

お二人とも、「住民が住民のことを決める。そうすればうまくいく。」と考えていらっしゃるようですが本当にそうでしょうか?誰も証明はしていません。一種の信仰ではないでしょうか?私は、住民自治を進めても、それでも少数派が脇に置かれることは、十分あり得ると思います。

補完性の原理については、いずれまた。

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