事業主は、誰からネコババしたのか?

「リンゴは、なぜ落ちた?」の伊藤さんが、「再度、お詫び。未納分の厚生年金」(http://blog.kumade.biz/?eid=676325)を書かれています。確かに、保険料は天引きされていたのに、事業主が、国に払わず、ネコババすると大変です。

では、事業主は誰からネコババしたのでしょう?被保険者から、それとも国から?どちらでもいいと思われるかもしれませんが、効果はまるで違います。

厚生年金保険法にこういう規定があります。

(保険料の負担及び納付義務)

第82条

1 被保険者及び被保険者を使用する事業主は、それぞれ保険料の半額を負担する。

2 事業主は、その使用する被保険者及び自己の負担する保険料を納付する義務を負う。

大事なのは2項で、事業主は自分の負担分と被保険者の負担分を国に納付する義務を負っています。事業主が納付するまで、国は被保険者負担分を納付されていないのです。

保険料を負担する被保険者と事業主と国の関係をどう作るかを考えると、二つのやり方があります。

一つは、事業主は、被保険者の代理人、あるいは使者として被保険者に代わって国に保険料を納めるというシステム。

もう一つは、事業主は国の代理人として、被保険者から保険料を受け取るというやり方です。

最初の方だと、被保険者から事業主が受け取ったとしても、国に支払わなければ、国は被保険者から保険料を受け取っていないということになります。事業主が国に納付しなければ、被保険者から事業主がネコババしたことになります。被保険者に権利は発生しません。

後の方だと、被保険者が保険料を事業主に支払った時点で、被保険者は国に納付したということになります。事業主が国に支払わなければ、事業主が国からネコババしたことになります。被保険者は国に納付したのですから、権利が発生します。

厚生年金保険法は、前者のシステムなのです。

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