「今夏のボーナス」について 続報
「今夏のボーナス」についてで毎月勤労統計の速報に基づいて記事を書いたのですが その後確報が発表されました。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/17/1708fr/mk1708r.html
数字を確報のものに改めて、全文を掲載します。
8月の毎月勤労統計の速報が発表され、5,6,7月と連続して前年同月比で増加をしてきた現金給与総額が、減少になりました。1.1%1.3%のマイナスです。久しぶりの弱い指標です。
原因を調べてみると、一般労働者(フルタイム労働者)の特別に支給される給与が前年より6,443円7,410円減って19,148円18,181円になったためです。一般労働者の所定内給与、所定外給与は増加していますし、パートタイム労働者では全ての項目が増えています。
特別に支給される給与は主に賞与、ボーナスです。夏のボーナスは増えているはずでした。6月、7月では、3.4%、3.9%増えています。
そこで、6,7,8月の合計を計算してみました。16年は434,104円でした。17年は442,318円441,351円、8,214円7,247円、1.9%1.7%増です。
「「恩恵」は行き渡った?」で、
「夏のボーナスの場合には、支給時期が6月になったり、7月になったり、場合によっては8月になったりするので、3ヶ月分の発表が終わらないと、確実なことは言えません。去年と金額は変わらないが、支給時期が6月に前倒しされた、その結果6月のボーナスが増えたという可能性もあります。」と書いたのですが、ある程度当たっていたようです。
それにしても民間の調査機関、例えば労務行政研究所の調査(http://www.rosei.or.jp/press/pdf/200504_3.pdf)では、労働組合員の夏のボーナスののびは5.2%と、比較的高い伸び率になっていたのに、この低さはどうしたことでしょう。
「「恩恵」は行き渡った?」で、次のように書きました。
「この統計では、特別給与の額を、こういう式で計算しています。
常用労働者に支払われた特別給与の総額÷常用労働者数
さて、常用労働者(フルタイム労働者)でも、ボーナスをもらわないか、パート並の扱い受けていて極端に額の低い人がいます。ついでですがパートタイム労働者の特別給与は、6、065円でした。
常用労働者の中でこのような労働者の割合が増ると、例ですが、こんなことが起こります。
前年
特別給与を受け取った労働者が9人、額は40万円。受け取らなかった労働者が1人。
先ほど式に当てはめると
平均額=(40万円×9人)÷(9人+1人)=36万円
今年
特別給与を受け取った労働者が9人、額は43万円。受け取らなかった労働者が2人。
先ほど式に当てはめると
平均額=(43万円×9人)÷(9人+2人)=35万2千円
受け取った人の平均では増えているのですが、支払われなかった労働者まで含めると減ってしまいます。
これは極端な例ですが、こういうことも起こっている理論的な可能性があります。実際はどうなのでしょうか?」
フルタイム労働者の中で労働組合員の割合が減ったり、中小零細企業が入ってきたりしているためかもしれません。
もしそうだとすると、ボーナスについては「恩恵は未だ行き渡らず。」です。所定内給与は増えていますので、全然恩恵がないということではないのですが。
労務行政研究所が夏冬型のボーナス決定をしている企業冬のボーナスについて5.2%増という調査結果(http://www.rosei.or.jp/press/pdf/200510.pdf)を発表しているのですが、日本全体では、
ここまでは行かないかもしれません。
なお、「「恩恵」は行き渡った?」で、
6月の統計を見て「パートタイム労働者の場合、夏のボーナスは6月よりも7月に支払われることが多いようです。(一般労働者の場合には、6月が多いのです。)7月の結果を見てみないとよく分からないのですが、この夏の伸び率はかなり高くなるのではないでしょうか。」とも書いたのですが、外れました。16年が14,390円、17年が15,171円15,153円で、5.4%5.3%の増加に留まりました。「一月分だけで判断してはいけない。」の見本です。
それでも一般労働者に比べれば、パートタイム労働者には、恩恵があったといえるかもしれません。絶対額が小さいので大した恩恵ではないかもしれませんが。
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