「「今夏のボーナス」について 続報」について

厚生労働省から夏季の賞与の結果が発表されました。http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/17/1709p/xls/1709c05p.xls

夏季の賞与というのは6月から9月までに支給された特別給与のうち賞与として支給されたものです。

規模5人以上の事業所では、410,618円、1.3%増。

規模30人以上事業所で、470.286円、0.5%増。

あまり高い伸びとはいえません。

(なお、「5人以上」は「30人以上」と「5から29人」の合計です。「5から29人」だけを取り出すと「5人以上」の410,618円より相当低いものになるはずです。規模間格差はかなり大きいのです。)

景気が回復してきているのに、このような結果になったのはなぜでしょうか?

民間の調査機関、例えば労務行政研究所の調査(http://www.rosei.or.jp/press/pdf/200504_3.pdf)では、労働組合員の夏のボーナスの伸びは5.2%と、比較的高い伸び率になっています。景気の回復が効果をもたらしていないとは言い切れません。

いくつかの可能性が考えられます。

この統計では、夏季賞与の額を「賞与を支給した事業所の全常用労働者一人平均賞与」としています。

ひとつの可能性は、ボーナスをもらわないか、ごく額の低いパートタイム労働者の割合が高くなったということです。普通にボーナスをもらう労働者だけ見ればかなりの率で伸びたとしても、常用労働者の中でこのような労働者の割合が増ると、平均した伸び率は低くなります。

ただ、最近パートタイム労働者の割合はほぼ横ばいなので、このような効果があまり大きいとはいえないだろうと思います。

もうひとつの可能性は、賞与を支給した事業所の割合が高くなったことです。確かに、支給した事業所の割合は増えています。

具体的には、5人以上では昨年69.2%だったのが70.4%に増えていますし、30人以上に限れば89.2%だったのが90.5%に増えているのです。

昨年支給しなかった事業所で、今年支給したところの賞与はそれほど多くはないでしょう。経営状況が改善しても、賞与をゼロから一挙に増やすところは少ないはずですから。そうすると、このような事業所の増加は平均賞与を引き下げます。景気がよくなり、賞与支給事業所が増えたので、平均賞与が減るという結果になるのです。

今回は、どちらかというと支給事業所割合の好転が聞いているような気がします。

賞与の改善が、極端に悪いともいえないでしょう。すごくいいとは絶対にいえませんが。

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