「恩恵」は行き渡った?

「恩恵は行き渡らず?」 その2」について

で、16年平均では、未だ労働者に「恩恵」は行き渡っていないことを書きました。

では、17年の夏ではどうか。6月の毎月勤労統計が発表されたのでhttp://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/17/1706fr/mk1706r.html

、第4表 就業形態別月間現金給与額の特別給与(主に賞与、ボーナスです。)を調べてみました。

一般労働者では、259,871円で、前年同月に比べて2.8%増えています。

夏のボーナスの場合には、支給時期が6月になったり、7月になったり、場合によっては8月になったりするので、3ヶ月分の発表が終わらないと、確実なことは言えません。去年と金額は変わらないが、支給時期が6月に前倒しされた、その結果6月のボーナスが増えたという可能性もあります。

面白いのは、産業別の増加率格差が大きいことです。金額には元々格差があります。

製造業     1.6%増。

卸売・小売業 7.6%増。

サービス業  7.1%増。 

製造業が低いのが目に付きます。なぜでしょう?利益はそれなりに伸びていると思うのですが。

この統計では、特別給与の額を、こういう式で計算しています。

常用労働者に支払われた特別給与の総額÷常用労働者数

さて、常用労働者(フルタイム労働者)でも、ボーナスをもらわないか、パート並の扱い受けていて極端に額の低い人がいます。ついでですがパートタイム労働者の特別給与は、6、065円でした。

常用労働者の中でこのような労働者の割合が増ると、例ですが、こんなことが起こります。

前年

特別給与を受け取った労働者が9人、額は40万円。受け取らなかった労働者が1人。

先ほど式に当てはめると

平均額=(40万円×9人)÷(9人+1人)=36万円

今年

特別給与を受け取った労働者が9人、額は43万円。受け取らなかった労働者が2人。

先ほど式に当てはめると

平均額=(43万円×9人)÷(9人+2人)=35万2千円

受け取った人の平均では増えているのですが、支払われなかった労働者まで含めると減ってしまいます。

これは極端な例ですが、こういうことも起こっている理論的な可能性があります。実際はどうなのでしょうか?

なお、パートタイム労働者の平均は先ほど書いたとおり、6,065円です。金額は少ないのですが、前年同月に比べて17.5%も増えています。

パートタイム労働者の場合夏のボーナスは6月よりも7月に支払われることが多いようです。(一般労働者の場合には、6月が多いのです。)7月の結果を見てみないとよく分からないのですが、この夏の伸び率はかなり高くなるのではないでしょうか。

産業別の増加率格差はパートタイム労働者でも大きいのですが、一般労働者とは傾向が違います。

一般労働者では1.6%しか伸びなかった製造業で、49.1%増。

一般労働者では7.6%増とトップだった卸売・小売業で、28.3%増。

一般労働者で7.1%の伸びだったサービス業で、8.6%増。 

この差は何なのでしょう?

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