労働力調査の2016年3月分が発表になりました。
2月分では「
働き盛りの男性の就業率はリーマンショック前を超えた。」と書けたのですが、3月には再び下回ってしまいました。35歳から44歳層の悪化が目立ちます。2015年3月の93.2%さえ下回ってしまいました。他方、25歳から34歳層は
リーマンショック前を0.9ポイント上回っており、2月の0.5ポイントよりも改善しています。
3月の男性の年齢階級別就業率(%)年齢 | 1997年 | 2008年 | 2016年 | 97年との差 | 08
年との差 |
---|
25~34歳 | 94.1 | 90.5 | 91.4 | △2.7 | 0.9 |
35~44歳 | 95.7 | 93.7 | 92.6 | △3.1 | △1.1 |
45~54歳 | 95.9 | 93.6 | 93.2 | △2.7 | △0.4 |
3月の男性の人口と仕事の不足(万人)年齢 | 2016年の人口 | 1997年 | 2007年 |
---|
25~34歳 | 700 | 19 | △6 |
35~44歳 | 907 | 28 | 10 |
45~54歳 | 847 | 23 | 3 |
25~54歳 | 2,454 | 70 | 7 |
「
2016年1月になってもまだ男の普通の仕事は足りない」で示したように、35歳から44歳層の就業率は1月にで2008年9月の
リーマンショック前の就業率をわずかですが上回る水準になり、2月も上回っていたのですが3月は逆戻りしました。このため、
リーマンショック前の就業率の水準に対応する就業者数を現実の就業者数が7万人下回りました。
リーマンショックにこだわるのは、
リーマンショック前の日本経済、
労働市場が本格的拡大に向かう傾向にあったからです。3月分の統計を見ると勤労者家計の収入も上向いてきています。本格的な拡大に移れるといいのですが。
1997年の日本の
金融危機前を目指すなら、さらに70万人分の仕事を確保する必要があります。率だと3%です。雇用の質の改善も必要です。
なお、この層の就業率は景気と並行して変化しています。構造的失業や摩擦的失業によって就業率が低くなっているわけではありません。
「
2015年8月になってもまだ男の普通の仕事は足りない」で、「最近の動きに幻惑されて、雇用拡大の手を緩めるべきではありません。」、「女性の就業率が上がったことによって、両性を合わせると就業率は上がっています。
完全雇用だと考えている方は、男性にも目を向けてみてはどうでしょうか?」と書きましたが、意見に変わりはありません。賃金が上がり始めるなど一見、
完全雇用になったように見えますが、70万人分は供給余力があるとみるべきでしょう。
完全雇用になるまではまだまだ先があります。
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