人的資本の調整

なぜ雇用は改善し続けているのか?人的資本の生産が増えているから? その2」に関連して。

人的資本の過剰、不足の波は物的資本のものに比べて長いようです。印象を述べると、戦後の日本での循環を考えると、敗戦直後から高度成長に入るまでの間が過剰期、高度成長が始まってからバブル崩壊までが不足期、1997年の金融危機から最近までが過剰期と三つの局面しかありません。なお、この三つの間にはほぼバランスの取れていた時期が挟まっています。

ここで過剰、不足をどのように考ええいるかといいますと、正常な稼働率というものを考えて、

人的資本×正常稼働率=労働サービス供給量を求め、

将来の生産活動に必要な労働サービス需要量に等しい労働サービス供給量をもたらすのに必要な人的資本を割り出し、

これが現在の人的資本と釣り合っているかどうかで判断しています。

人的資本が過剰であると、とりあえずは稼働率を引き下げて対応します。具体的には、失業する、非労働力化する、労働時間を短縮する(残業や早出、休日出勤をやめる、パートタイムで働く)などです。これらの方法をとる場合、厳密にいうと違うのですが、人的資本は変化しません。労働サービスに対する需要が出てくれば稼働率は回復します。

なお、正常稼働率は、さまざまな要因により、ゆっくりではありますが変化していきます。女性、高齢者の労働力率の持続的な上昇などはその例です。

稼働率を変えることによって、一時的な労働サービス需要の変動には対応が可能です。しかし、長期に過剰や不足が続いた場合は人的資本そのものが調整されます。これには長い時間がかかるようです。その理由を考えていきたいと思います。

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