「
非正規労働者と組合」の続きです。
非正規労働者が組合員であれば当然労働条件について交渉するのが、本来の
労働組合の仕事でしょう。では、実態は。
労働条件、処遇の改善要求をしている組合の割合(%) | 資格があり組合員がいる | 資格はあるが組合員はいない | 資格がない |
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パートタイム労働者 | 84.8 | 33.6 | 11.0 |
フルタイム非正規 | 83.5 | 26.7 | 10.0 |
派遣労働者 | 70.6 | 34.2 | 4.1 |
これは要求ですから、それが通ったかどうかはわかりません。でも、組合員がいるところはほとんどが要求をしています。
資格はあるけれど実際には組合員がいないところも要求はしているケースが多いようです。団交であれば交渉に応じる義務があるかどうか微妙ですが(違うかな?)、要求はしていけない理由もありません。
興味深いのは組合加入資格がない場合でも要求をしているところがあることです。パートタイム労働者やフルタイムの
非正規労働者の場合10%を超えています。
ところで、hamachanさんが「
今後の労使関係のあり方を考える」でこんなことを書かれています。
しかし,日本で非正規問題を取り扱っているコミュニティユニオンのやっていることは,問題が起こってから解決するためのもので,予め防ぐ仕組みではないのです。なぜかというと,そもそも日本の企業別組合は,基本的に正社員組合であって,多くの場合に規約の中に非正規は入れないとはっきり書いています。書いていなくても,入れないのがごく普通で,だから非正規をめぐる問題があっても,組合の中で解決する回路がなく,問題が起きてから企業外のユニオンに駆け込んでいくしかない。そこで初めて組合員になって,その組合員であることを盾にとって団体交渉を要求する。形式的には集団的労使関係の枠組みで物事をやっていますが,これは本来の集団的労使関係の仕組みというよりは,個別雇用関係の問題を解決する一種のNGO的な役割だろうと思います。
「そもそも日本の
企業別組合は,基本的に正社員組合であって,多くの場合に規約の中に非正規は入れないとはっきり書いています。書いていなくても,入れないのがごく普通」とういう部分は徐々に変わりつつあるのではないでしょうか?
それがなぜ変わったかというと、 「非正規をめぐる問題があっても,組合の中で解決する回路」がないという状態が不自然なものになったからではないでしょうか?
あるいは「企業外のユニオンに駆け込んでいくしかない。そこで初めて組合員になって,その組合員であることを盾にとって団体交渉を要求」されるぐらいなら、組合員化されたほうがいいと企業側が考え初めているのかもしれません。
そうだとすると、正規労働者の企業内組合に加入させない(正)→コミュニティユニオンに駆け込む(反)→正規労働者の組合が
非正規労働者も含む企業内組合に変化する(合)という発展を遂げていることになります。もしそうなら、「一種の
NGO的な役割」を果たすだけのコミュニティユニオンが、結果としては、企業内
労働組合を変身させる機能も持っていることになります。
もう一つは、
高齢者の雇用延長の中で延長された組合員がそのまま組合に残っているのかもしれません。延長については交渉が行われるでしょうし、合意されれば、その中身が守られているかを監視しなければなりません。組合として関与し続けるのですから、組合員にするのが自然です。そもそも、明日の自分のことなのですから。この場合、正社員とそのOBの
労働組合ということになります。
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