「恩恵は行き渡らず?」 その2

2月1日のエントリ「恩恵は行き渡らず?」で、

「フルタイム、パートタイムどちらも所定内給与は、余り変化がなく、フルタイムの特別給与は率でみてやや増加、パートタイムの特別給与は、率はともかく額でみるとほとんど変化していないのではないでしょうか。」という予想を書きました。

16日に毎月勤労統計の16年平均の確報が発表されました。

http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/16/16fr/16c04r.html

これによると、フルタイム、パートタイム労働者の平均、フルタイム労働者、パートタイム労働者に分けて見ると、次の通りでした。

平均

現金給与総額  272、047(-0.4%)         

所定内給与   253,105(-0.6%) 

時間外手当など  18,942(+3.9%)

ボーナスなど   60,737(-1.9%)

フルタイム

現金給与総額  413,325(+0.3%)         

所定内給与   308,611( 0.0%) 

ボーナスなど   80,293(-0.2%)

パートタイム

現金給与総額  94,229(+0.8%)         

所定内給与    88,700(+0.9%) 

ボーナスなど    2,816(-5.6%)

パートタイム労働者の雇用は5.5%増、フルタイム労働者の雇用は1.1%減、全体では0.4%増でした。全体が増えたのは7年ぶりでした。

「所定内給与はどちらも余り変化はなく」という点ではまあ、合格でしょうか。

「フルタイムの特別給与は率でみてやや増加」は、はずれました。

「パートタイムの特別給与は、率はともかく額でみるとほとんど変化していない」もまあ、甘く見て合格でしょうか。

全体としては、?です。

恩恵という角度から見ると、「景気回復で、残業時間が増え、それに伴ってフルタイム、パートタイムとも現金給与は増えた。しかし、給料の高いフルタイムが減り、安いパートが増えたので、平均すれば現金給与総額は減ってしまった。」ということになるでしょう。雇用全体が増えたのは、恩恵といえるかもしれません。

では、なぜ、業績は好調なのに業績を反映するはずのフルタイム労働者のボーナスは減ったのでしょうか。

答えはここにあるようです。平成16年賃金引上げ等の実態に関する調査の結果です。

http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/jittai/04/kekka7.html

規模の大きい企業では、賃金改定時期(春でしょう)に賃金とボーナスを決めています。しかも1年分のボーナスを決めてしまっていることが多いのです。このとき分かっているのは前の年度の業績です。

そこで、「15年度の業績を反映して16年のボーナスが決まり、16年度の業績は15年度よりよくなる。という条件の下では、16年のボーナスは16年度の業績に見合ったものにはならない。」といことになります。

ついでですが、この調査では人件費負担への対応も聞いています。

http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/jittai/04/kekka9.html

これによると、賃金制度の改正よりもパートタイム労働者、下請け、派遣の活用の法が多く、パートタイム労働者が増加したのは当然の結果であったということになります。

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