20/21歳正社員も60万人割れ、まだ労働供給には余裕がある

総務省統計局の労働力調査による20歳、21歳の正社員の数です。ここまで絞るとサンプルサイズが小さくなり統計の値が不安定になるのは避けられません。人口の数字も不安定です。 「人的資本の生産が増えているかもしれない根拠 20/21歳正社員」でも書きましたが、1年間で対象者の二分の一が入れ替わるので労働市場の変化を素早く捉えられるという利点もあります。対象者は高卒であれば務めて2,3年目、専門学校や短大、高専なら1,2年目です。 次の表が2014年からの正社員の数の動きです。単位は万人です。2016年の5月分まで作成しました。 正社員の数(万人)
2014年2015年2016年
1月4448491
2月444949
3月455454
4月605963
5月595859
6月5355
7月5257
8月5453△1
9月5356
10月5154
11月5351△2
12月5553△2
20/21歳正社員 2016年3月」では、「この年齢層の正社員の数は前年の同じ月に比べて増えているとは言えません。企業は主にこれよりも少し学歴が上の大卒者を中心に人的資本の再蓄積に乗り出しているといえそうです。」と書きましたが、4月には63万人と前年同月を4万人上回りまわっていました。5月は1万人増です。採用はしたけれどということでしょうか?高卒の定着に問題があるのでしょうか? 人口に占める正社員の割合(%)
2014年2015年2016年
1月17.717.918.80.9
2月17.918.519.71.2
3月18.120.821.60.8
4月23.123.223.70.5
5月22.922.622.5△0.3
6月20.520.80.3
7月20.222.01.9
8月20.820.2△0.7
9月21.020.9△0.1
10月20.221.10.9
11月20.319.9△0.4
12月20.619.9△0.7
(注)2014年、15年を見る限り、この率は季節的に変動するようです。学卒者が採用される年度初めの4月が一番高くそれ以降下がる傾向にあります。下げ幅は22歳から24会に比べると小さく、2014年の4月と2015年の3月を比べると2.3ポイントの低下、2015年の4月と2016年の3月を比べると1.6ポイントの低下です。労働市場がタイトになると、下げ幅が小さくなるようです。 5月のパート、アルバイトは77万人で5万人増です。通学の傍ら仕事をしている人は49万人で横ばいです。 なお、人口は262万人で前年の5月より5万人増えています。労働力人口は151万人で前年同月比11万人増加、就業者は142万人で10万人増加です。労働力率は56.9%で1.6ポイント上昇です。就業率は53.8%で1.7ポイント上昇です。この層は労働市場に戻ってきています。完全失業率は6.0%で0.3ポイント低下です。 仕事の口があれば労働市場への参加者が増えるのですから、失業率が低くても、労働供給には余裕があるというべきでしょう。完全雇用ではありません。 人気blogランキングでは「社会科学」の5位でした。今日も↓クリックをお願いします。 人気blogランキング