5月の
労働力調査の結果が発表されました。
5月の男性の年齢階級別就業率(%)年齢 | 1997年 | 2008年 | 2015年 | 97年との差 | 08年との差 |
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25~34歳 | 94.4 | 91.0 | 90.3 | △4.1 | △0.7 |
35~44歳 | 96.2 | 94.0 | 93.1 | △3.1 | △0.9 |
45~54歳 | 95.4 | 93.7 | 92.8 | △2.4 | △0.9 |
5月の男性の人口と仕事の不足(万人)年齢 | 人口 | 1997年 | 2008年 |
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25~34歳 | 710 | 29 | 5 |
35~44歳 | 923 | 29 | 8 |
45~54歳 | 832 | 20 | 7 |
25~54歳 | 2,465 | 78 | 21 |
1997年の欄には、1997年並みの就業率にするために追加する必要な就業者の数を示している。2008年も同じ。
リーマンショック前の就業率を回復するためには21万人分の仕事の口が必要です。
金融危機前を目指すなら80万人分です。
「
2015年4月になってもまだ男の普通の仕事は足りない」で次のように書きましたが、今も意見は変わっていません。
現在の労働市場は仕事の在り方によって二つの部分に分かれていると考えていいでしょう。
ひとつは、勤続、経験に応じて仕事をする能力が高まり、賃金などの処遇も上がっていく部分です。普通の仕事です。もうひとつは経験を積んでも、勤続年数が長くなっても能力が高まらず、賃金なども上がっていかない部分です。低賃金の仕事です。
今、景気回復によって普通の仕事の口が増え、採用も増えています。新たに採用されている人の多くは、若く、当然ながら経験を積んでいない人で、当然賃金は低めです。少し前に採用され勤め始めた人も、経験は浅いですし、勤続年数も長くないので賃金はそれほど高くありません。したがって、採用が増えれば増えるほど、普通の仕事についている人の平均賃金は上がりにくく、場合によっては下がってしまいます。
一方、これまで普通の仕事につきたかったのに口がなくて低賃金の仕事についていた人は、普通の仕事に移っていきます。また、不況期には学校を出て働き始めるときに普通の仕事の口がなく、低賃金の仕事につかざるを得ないという人がいたのですが、景気回復により、多くは普通の仕事につけるようになってきています。低賃金労働市場の需給はタイトになり、賃金は上昇し始めています。
低賃金で働く人を増やしたくないのであれば、景気回復、普通の仕事の口の増加をさらに図るべきです。まずは働き盛りの男性の就業率をリーマンショック前に回復させ、次に1997年の金融危機前を目指すべきです。
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