「
平均寿命と65歳の平均余命」に関連して、年金支給開始年齢の決め方を考えてみたいと思います。
年金は長生きに対する保険だから、年金支給開始年齢は平均寿命とすべきだという意見を聞いたことがあります。それなりに筋は通っているのですが、ちょっと困ったことがあります。
平均寿命が延びるほどには、平均寿命に達した人の平均余命は伸びないということです。
こう書いても何のことか分かりにくいと思いますので、男性の例を示します。
平均寿命と平均余命年 | 平均寿命 | 平均年齢に達した人の平均余命 | 平均余命が11.62年である人の年齢 |
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1960 | 65.32 | 11.62 | 65歳 |
1970 | 69.31 | 10.11 | 66歳 |
1980 | 73.35 | 9.41 | 69歳 |
1990 | 75.92 | 8.93 | 71歳 |
2000 | 77.72 | 9.02 | 74歳 |
2010 | 79.55 | 8.42 | 75歳 |
1960年から2010年の間に平均寿命は15年ほど伸びています。平均寿命が65歳であった1960年の65歳の平均余命は11.62年でした。もしこの年から平均寿命を支給開始年齢にしていたとすると、1960年には平均して11.62年間年金の支給を受けられたことになります。
1970年には平均寿命は69歳になっています。この年齢から支給を受けたとすると平均支給期間は10.11年に短縮されます。
同じように考えると2010年には平均寿命が80歳になっていて、この年齢から支給を受けると平均して8.42年間しか受給できません。
これで納得が得られるでしょうか?
ひとつ考えられるのは、平均的な支給期間を一定に保つように支給年齢を引き上げるtことです。1960年の平均支給期間11.62年を維持しようとすると、1970年には66歳、1980年には69歳、1990年には71歳、2000年には74歳、2010年には75歳を支給開始年齢にすればいいことになります。
平均年齢で決めると50年間で15歳、平均支給期間一定なら10歳引き上げでだいぶ差があります。
私はそもそも支給開始年齢の引き上げに対して懐疑的なのですが、引き上げを主張される方には、どのような思想根拠で引き上げるのか、それにより支給期間がどのように変わるのかを明らかにして議論していただきたいと思っています。
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