円安になってかなり時間がたつのに輸出数量が増えていません。なぜでしょうか?円安を利用して値下げをしないのが、大きな要因です。
通常、円安になると相手国価格では値下げをするものと考えられています。日本で1万円のものは、1ドル80円なら125ドルですが、1ドル100円なら100ドルに下がります。値下げをすれば、よく売れるようになり、輸出が増え、生産が増え、雇用が増えると期待していたのですが、私の予想は外れました。
単
純化してしまうと、ドルでの価格を維持して、円建ての価格を引き上げているのです。先ほどの例でいうと、125ドルのままになるように、1万2,500円に値上げをしているのです。、この場合、輸出数量は増えずに採算が向上して、利益が増えることになります。実際、輸出企業の業績は上向いています。
貿易統計によると数量と価格の変化は次のようになっています。数量はあまり変化せず、価格は上昇しています。
輸出数量と円建て価格の変化率(前年同期比%)期間 | 輸出数量 | 価格 |
---|
2013年1-3月 | △9.3 | 8.8 |
4-6月 | △6.1 | 11.1 |
2013年7-9月 | △2.3 | 12.4 |
10-12月 | 2.1 | 11.9 |
2014年1-3月 | 0.7 | 6.0 |
4-6月 | △1.0 | 1.1 |
輸出が増えないのは、工場の
海外移転が進んだためだという説が唱えられますが、それだけではないでしょう。採算重視の行動が悪いわけではありません。特に、
円高の時は現地での値段を上げるはずのところ上げなかった経緯がありますので。
しかし、雇用に及ぼす効果は小さくなってしまいます。
採算向上→株価上昇→個人の資産増加→消費増加→生産増加→雇用増加というルートはありますが、輸出数量が増えるほどの効果ではないでしょう。
採算向上→利益増加→手元資金増加→投資増加とつながってくれるといいのですが。手元資金を預貯金や確定利付きの債権などで運用するだけでは、株主の期待に応えられないでしょう。そういうことなら自分でできるのですから。経営者の能力が問われます。
ただ、円相場も1年前とあまり変わらに水準になってきています。この効果抜きに円建ての輸出価格を上げられるか、数量を増やせるか、こちらの今後の動きも気になります。
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