「子どもの時間の流れ方」について
厚生労働省が、「第8回21世紀出生児縦断調査」の結果を発表しています。いろいろおもしろい結果があります。
「図13や図14」で、最初の子が生まれて方で次の子が生まれたかどうかを見ているのですが、お子さんが1歳半の時、悩みや不安があったかどうかなどで、いろいろな差が出てきています。
全体では、72.3%の方が次の子を産んでいるのですが、当時、悩みや不安が「すごくある」と答えた方は、60.7%しか生んでいません。「ほとんどない」と答えた方は75.4%が生んでいます。その差15%です。最初の子が幼いときの親の悩みや不安を解消するような手立ては、おそらく少子化対策として有効でしょう。
同じように、1歳半の時に何を負担に思っていたかについても集計されています。予想外なのか、予想通りなのか分かりませんが、次の子を産んだ割合が一番低いのは「子育てが大変なことを身近な人が理解してくれない。」なのです。63.6%です。「子育てで出費がかさむ」だと、70.5%です。金銭的な要素よりも精神的な要素が効いています。
シーラカンスさんが、「子どもの時間の流れ方」で、
「仕事に邁進する人としての意識で見てしまうと
子どもの道草につきあっている大人の姿は多分
すごーくお気楽に見えてしまう気がします。
でも、多分つきあう大人の側は
子どもに寄り添うことに適性を持つ人以外は
かなり「諦め」を背負ってつきあっていて、
別に呑気な時間を過ごしているわけじゃなかったりして…。
あー、この時間があったら本当は
買い物もできた、家の掃除もできた、
銀行に立ち寄って振り込みもできた、
読みたい本もあったし聞きたい曲もあった、とか。」
書いてられるのですが、「身近な人」が「仕事にまい進する人」であったりするケースも多いのではないでしょうか?たぶん、多いでしょう。「自分も昔は我慢したのだから」といった声もあるかもしれません。
面白いなと思ったのは、「自分の自由な時間が持てない」と答えた方は72.2%で平均とほとんど差がないことです。当時、自分の時間が持てなかったからといって次の子を生まなくなるわけではなさそうです。その時期が終わってみれば、多くのお母さんたちが、
「でも子どもの時間って多分、大事。
この、悠長な時間の流れが
彼らの心をはぐくんでいるんだろうなーと思う。
だから、あのとき、
イラついてしまったことも多々あるけど、
一緒につきあってゆっくり歩いて
一緒につきあって長い風呂に入り
一緒につきあって何冊も絵本を読んでやったことは
多分よかったんだろう。」
と思われるのか、あるいは無理にでも、
「いや、そう思うしかないわけです。
あの数年間はそういうもんだったんだと。」
と自分を納得させているのかもしれません。
この調査の対象となっているお子さんは、調査の時は8歳、今は10歳です。お母さんたちが、
「あの頃、彼らの悠長な時間につきあって
一緒にほっつき歩いたりボーッとしたりしたことは
きっとムダじゃないんだよね。
あの頃のああいう時間がきっと
今の私たちを形作っているんだよね。
と、今にして思っているのです。」
と思っていてくださればいいのですが。
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