ハローワーク その1

「2割職安」という言葉があります。職業安定所、つまりハローワークのシェアが2割しかないことを揶揄した言葉です。

その根拠になっているのが、雇用動向調査です。20年調査の結果の統計表がここにあります。http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001051085

さて、「 第12表 産業(中分類)、企業規模(GT・F)、職歴、入職経路別入職者数」を少し加工してみました。

入職者、つまり仕事に新たに付いた人のうちハローワークを利用して仕事のを見つけた方の割合は、19.1%です。このほかにハローワークインターネットサービスを利用して仕事を見つけた方が3.7%います。民営職業紹介は、わずか1.7%です。学校が在校生に対して機能を果たしており、5.5%のシェアを持っています。これも当然でしょう。また、「広告」が32.3%のシェアを持っています。

仮にハローワークが廃止されるか大幅に縮減されて、民営職業紹介がハローワークのシェアの10分の1、1.9%をとることができれば事業は2倍以上になるわけです。ハローワークのシェアのうちクリーム部分がこれだけあればという前提ですが。

さて、この数字はやや誤解を招くかもしれません。実は入職経路は大きく二つに分けられています。一つは「職業紹介機関等」であり、もう一つは「縁故・出向等」です。人の問題では、必ず人のつながりが活用されます。縁故などは決してなくならないでしょうし、否定すべきものでもないように思います。「職業紹介機関等」の範囲に限ってみれば、ハローワークのシェアは25.7%となっています。民営職業紹介、学校、広告は多数の経営主体からなっていますからハローワークはこの業界でダントツナンバーワンの組織であると言えるでしょう。

にもかかわらず、評価が低いのはなぜでしょうか?

それはおそらく、ハローワークがマスコミに取り上げられやすい大企業ではなく、中小企業で強いからでしょう。企業規模別にハローワークのシェアをみると、次のようになります。

1,000人以上     13.4%

300から999人    18.6%

100から299人    29.8%

 30人から99人    32.7%

  5人から29人    35.9%

広告は全く逆で大企業に強いのです。端的にいえば、広告代を払うことができ、ネームバリューのある企業が広告を利用しているということでしょう。

しかし、採用そのものは300人以上が250万人、5から299人は420万人です。

人さまのブログに(http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/03/post-b7c2.html)寄せられたコメントを引用するのは、いささか気が引けるのですが、ハローワークの職員の方が、こう書かれています。

「では、ユニバーサルサービスとしてのハローワークにおける職業紹介の実際の現場はどうなっているのでしょうか。窓口に来る求職者のレベルは、それこそ凄まじい「玉石混淆」です。求職者だけでなく、求人についても「玉石混淆」。民間の紹介事業者は、職種ごとに細分化された労働市場をマーケットとして求職者と求人者を絞りこみ、選別しているわけです。」

おそらく、これが実態で誰でも求人を出せ、誰でも求職活動をできるハローワークは必然的に玉石混交になるはずです。

社会が「玉」だけでできているのではない以上、ハローワークのようなシステムは不可欠でしょう。

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