本石町日記のbank.of.japanさんが、「
正社員は長期雇用を享受するのか=私的な労働観です」で、こう質問されています。
企業規模によって雇用の流動化状態はかなり違うような気がする。終身雇用が前提になるのは、あくまでも公務員か大企業に限った話で、労働人口の大半を占める中小・零細企業はかなり労働は流動化しているのではなかろうか。この辺をうまく捉えた労働統計とかないですかね。
ありますね。
厚生労働省の
「雇用動向調査」です。
終身雇用なのでフルタイムの男
性労働者を取って見ました。フルタイムの
非正規社員も含まれているでしょうが、傾向はつかめると思います。手元にあった平成17年分から作ってのが、下の表です。
男性フルタイム労働者の離職率(%)
企業規模 | 出向以外 | 定年 | 死亡・傷病 | 定年、死亡・傷病以外 |
---|
1,000人以上 | 6.9 | 1.5 | 0.2 | 5.3 |
300から999人 | 11.2 | 1.0 | 0.2 | 9.9 |
100から299人 | 10.9 | 0.9 | 0.2 | 9.7 |
30から99人 | 13.3 | 0.9 | 0.3 | 12.2 |
5から29人 | 13.9 | 0.5 | 0.4 | 13.0 |
確かに、大企業ほど
流動性は低くなっています。また、定年で辞めている人の割合は大企業ほど高くなっています。
しかし中小企業でも定年まで勤めている人がいないわけではありません。それに、大企業でも定年で辞めている人より、別の理由で辞めている人のほうが多いのです。
定年、死亡・傷病以外の理由で辞めている人の割合は、大企業のほうが低いです。しかし、それでも20人に1人以上というかなりの割合です。5から29人ですと13.0%ですから7,8人に1人です。
感じとしては、大企業は全員が終身雇用、中小零細は
超流動的という2極分解というよりも、安定から流動への連続的な変化という感じでしょうか。
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