「のに」ではなく「ので」です。

今日(2007年9月6日)の毎日新聞に「魅力ある職場へ改善を急げ」という介護についての次のような社説がありました(http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/shasetsu/news/20070906k0000m070169000c.html)。 コムスンが退場したからといって、介護現場の抱えている課題が解決したわけでない。「社会的介護」発足から7年、あちこちに制度のきしみも出てきた。これを機に介護の構造改革に腰をすえて取り組まないと、将来は暗い。  最大の課題は、介護現場で働く人がジリ貧状態になっていることだ。厚生労働省は、団塊世代高齢化に伴う介護需要をまかなうには、2014年までに今より40万~60万人増やす必要がある、と推計する。その一方で、介護職員の年間離職率は2割と高く、需要を満たすのが厳しいというジレンマに直面している。  雇用情勢が全般的に上向いているのに、介護の人員確保は深刻な状況だ。ヘルパーが現場を去り、介護福祉士の有資格者すら介護職に就かない原因は、実労働時間が長いにもかかわらず、収入が低いことに尽きるだろう。  最近の調査では、男性介護職員の平均年収315万円、女性ヘルパー262万円。全労働者の平均年収の6~7割に過ぎない。若者は「安・長・重」の労働環境を敬遠し、介護職場より待遇がいいとされるパート労働に移っていく傾向だという。  訪問介護の売り上げ(報酬)は介護保険でまかなわれている。厚労省社会保障費抑制の圧力が強まる中で、事業者へ支払う報酬の単価をこれまで2回にわたって引き下げた。コムスンの不正請求には弁解の余地はないが、介護保険の給付制限にあえいだ業者が無理してもうけようとした、と指摘する声もある。  少子高齢社会で労働人口は年々減り続ける。介護の人材を確保するには、フィリピンなど外国人労働者の受け入れを求める声も大きいが、国内で調達するには、介護従事者1人当たりの報酬が増えなければ、他職種から働き手がシフトしてくることは考えにくい。  高い志を持って介護の仕事に励むヘルパーらが、コムスン騒動で悪事の加担者のように批判されるのは筋違いだ。その厳しい労働を正当に評価し、収入アップなど待遇改善を急がなければならない。国も事業者も総がかりで改革に取り組まなければ、国民は必要な介護が受けられなくなる。 概ね頷ける内容なのですが、1カ所気になるところがあります。太字にした部分です。 「介護職員 その5」で書きましたが、介護保険制度の下では介護事業者が払える賃金には上限があります。 雇用情勢が全般的に上向いて来れば、賃金は上昇していきます。介護事業で働いている労働者に対して他の事業をしている事業主が、介護事業者が支払える賃金以上の賃金を払い始めれば、介護の人員確保は困難になります。 雇用情勢が全般的に上向いているのに、介護の人員確保は深刻な状況になっているのではなく、雇用情勢が全般的に上向いているので、介護の人員確保は深刻な状況になったのです。 人気blogランキングでは「社会科学」の54位でした。今日も↓クリックをお願いします。 人気blogランキング