社会人のための『新しいマクロ経済学』解説 その13

社会人のための『新しいマクロ経済学』解説 その12」の続きです。 (2.25)式の右辺の第2項がゼロとなることが、横断条件、非ポンジー条件を満たすために必要です。これを示しているのが(2.26)式です。 オイラー方程式を価格の形で表した(2.22)式を変形すると、(2.27)式が得られます。これを利用して(2.26)式を価格の概念を用いて表すことができます。これが(2.28)式です。 (2.26)式が資本の量に関する式だったのに対し、この式は(資本)財の価格に関する式になっています。 この式の意味は「資本の水準が一定の場合、資産価格(資本財価格)が時間選好率(ρ)以上のスピードで成長しないこと」という条件を表しています。以後、この条件を「横断条件」と呼ぶこととされていますので、横断条件の中に非ポンジー条件も含まれることになります。 この条件によりバブル解が排除されます。 引き続き、「2.2.7 資本財市場の均衡と資本の蓄積経路」の説明に移ります。今回は、資本市場の均衡のみ取り上げます。 各期ごとの市場均衡では、定義から企業の資本需要ktが家計からの資本供給atに等しくなっています。この条件が(2.29)式です。 k=a   (2.29) 明示されていませんが、これはすべての期について成り立つと仮定されています。 これを、各期ごとの家計の予算制約式(2.19)に代入すると、資本の蓄積経路を示す(2.30)式が得られます。 さて、ここまででこのモデルの構築はすべて終わりました。お読みいただいた方、お疲れ様でした。テキストでは「資本がいかに蓄積されていくのか?」、「資産価格がいかに決定されていくのか?」の分析に移っています。次回は、そこに進む前に、このモデルで置かれている仮定を整理しようと思っています。 人気blogランキングでは「社会科学」の48位でした。今日も↓クリックをお願いします。 人気blogランキング