民法第772条 様々なケース その2

民法第772条 様々なケース その1 」で予告したとおり、今回は、死別後再婚のケースを取り上げます。 今回はケースが多く、18通りあります。しかし、本質的に新しいケースは輪それほど多くありません。 Ⅱ 夫と死別し、再婚した場合
解消の理由婚姻中再婚前再婚後
7 死別○●
8 死別△▲
9 死別□■
10 死別
11 死別
12 死別
13 死別
14 死別
15 死別
16 死別(※)○●
17 死別△▲
18 死別□■
19 死別(※)
20 死別
21 死別
22 死別(※)○●
23 死別△▲
24 死別□■
まず、再婚しない場合にはなかった、再婚相手の子を懐胎した、出産したというケースが増えます。また、再婚した後の出産というケースも追加されます。 ケース7はケース1と対応しています。 ケース8とケース9はケース2から派生したものです。と言うのはケース2のままであればケース2ですが、ケース2の母が子の父親ではない男性と再婚すえばケース8,この父親と再オンすればケース9になるのです。 この例で分かるように、再婚する前に出産した場合、その後3通りの可能性があります。そこで、出産の時点で、この父親を推定するかどうか、誰と推定するかがかなり微妙な問題となります。まだ、再婚していないので、再婚相手の子という推定はできません。毎日新聞の連載「離婚後300日規定 こう考える >2<」で榊原富士子さんとおっしゃる弁護士の方が、父親欄を空欄にした出生届を認めて欲しいとおっしゃっています。おそらく、母親の選択により、父親の推定を行わないということを想定されているのでしょう。この場合、その後再婚できなかったり、別な男性と再婚した場合、法律上の父親の決定がかなり困難になるおそれがあります。 同じようにケース10はケース3に対応し、ケース11,12はケース4から派生したものです。 ケース16はケース5に対応し、ケース17,18はケース6から派生したものです。 ケース13,14,15そして、ケース19,20,21は、再婚後出産という新しいケースです。この場合、再婚後の夫と推定するという方法があり得ます。榊原富士子弁護士も、同じ連載の第5回目の水野紀子東北大大学院教授もこれを提案されています。ただ単純に婚姻している夫の子と推定するのを民法の原則にすれば、婚姻解消後、再婚前の出産の場合の場合、出産時には推定すべき父親がいないという結果になります。ここをどうするのかという問題が残ります。当然ですが、推定ですから血縁上の父親ではない男性を法律上の父親と推定する可能性はつきまといます。 ケース23は、婚姻中に婚姻の相手ではない男性の子を懐胎したという点では、ケース2と似ています。 ケース24は、現在の推定の規定がもっとも不適切なケースです。婚姻中に夫の子を懐胎したのですから、本来問題なく、つまり特段の手続きをとることなく夫の法律上の子と認められるべきです。このケースについては、死別した時点では、懐胎していなかったことの証明さえあれば、それ以上の手続きの負担を課すべきではないでしょう。 法務省が通達で救済しようとしているのは、妥当だと思います。 ただ、これを認めれば、ケース23も結婚相手の子と推定されることになります。 次回は、問題になっている離婚のケースに移ります。 人気blogランキングでは「社会科学」の26位でした。今日も↓クリックをお願いします。 人気blogランキング