日本には職種別の賃金はないのか?

危険ではないか?」に続いて、hamachanさんにエントリー(http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2006/12/post_99cb.html)に、関連して。 hamachanさんは、こう書かれています。 はっきり言って、(1)日本には職種なんてモノ自体がほとんどないのですから、(2)職種別の賃金もなく、それゆえ(3)職種別賃金なるものを公的に設定するなどということができるはずもないわけです。 (1)、(2)、(3)は平家が付け加えました。 まず、(1)について hamachanさんは「職種」を定義されていないし、私と理解が違うかもしれない。また、「ほとんどない」と書かれていますから「多少はある」ということになります。なので、一つの反例を出すだけではだめなのかもしれませんが。 スーパーのレジを打つ仕事、あれは職種ではないでしょうか?仕事は基本的に定型化されており、しかし、誰でもすぐできる雑用ではない。あの仕事と他の仕事の掛け持ちはあるかもしれないが、基本的にはあの仕事中心でしょう。また、あの仕事からより高度な別な仕事へ全員が移っていくことが予定されているわけでもなさそうです。昇進の一過程、ジョブローテーションの一部というわけではなさそう。 小売店の店員さん、ビルなどの清掃係り、大きな店の中にあるパンの製造販売をやる店のパンを焼く係り、ホームヘルパーなども職種といえるのではでしょうか? ファストフード店の調理、ウェイター、ウェイトレス、美容師、理容師はどうでしょう? 交通関係ならハイヤー、タクシー、トラックの運転手は? 医療なら医者、看護士、レントゲンなどの技術者、薬剤師は? 一つの会社の中で、ローテーションで様々な仕事をしながら(といってもそれなりの幅のうちでしょうが)やっていくのとは別のキャリアがそれなりにあると思うのですが、どうでしょう? (2)について 例示した職種のうち、太文字にした職種については、賃金は性別でも、企業規模別でもなく、年齢でもなく、将に仕事に応じて、つまり職種により決まっているように思います。 (3)について 職種別の賃金を公定するというのは最低賃金の問題ではないでしょう。それを狙っていたとは思えません。むしろ職種毎の最低水準かあるいは少し経験を積んだ段階での賃金の最低水準を決めようとしていたのではないでしょうか? 職種がない、職種別賃金がないというのは、総論としては、あるいは日本の特徴としては正かもしれません。しかし、ほとんどないとも言えません。そして女性パートタイム労働者が就く仕事の多くが、職種により賃金が決まっているように思います。パートタイム労働者の組織化があまり進んでいない、したがって団体交渉で賃金が決まらないということを考え合わせると、これらの職種について、団体交渉の代替物として、労使が参加する最低賃金審議会での決定プロセスを導入しても良かったのではないかと思います。 人気blogランキングでは「社会科学」の23位でした。今日も↓クリックをお願いします。 人気blogランキング