社会保険庁の数値目標

社会保険庁の不正免除の検証作業が終わりました。報告書がまとめられています。

http://www.sia.go.jp/topics/2006/n0803_1.pdf

この全体についてコメントするのは、私の手に余りますが、数値目標のあり方について触れられているのが目に付きました。

「納付率の目標については、今後とも、収納対策を推進していく上での指標として設定することが必要であるが、」

この部分はそのとおりでしょう。何の目標も持たずに業務を進めると言うのは無理です。

「現在の納付率は保険料の納付や免除などを収納対策全般にかかる効果を一つの数値で表すものであり、」

そのとおりですが、「数値目標 その2」でも書いたように、これを政府の目標として設定するなら別に問題はなかったのです。それを政府機能の一部しか担っていない事務局・事務所の目標にしてしまったところに問題があったのです。

「この結果、保険料の収納のための適正な努力を重ねて納付率実績を挙げた事務局・事務所と、免除等の増加により分母が減少した結果により率が増大した事務局・事務所の差異が明確とならず、このような中で、今回の「不適正処理による分母減らし」を行った事務局・事務所も生じた。」

「こうした点も踏まえ、今後、目標の具体的なあり方については、例えば収納実績(分子の変動要因)と免除等実績(分母の変動要因)とを切り離してそれぞれを適切に評価しつつ、その上で率についても評価する方法、個々の事務局・事務所ごとの目標設定の方法、現年度分・過年度分の保険料の収納目標のあり方などについて、早急に検討することとする。」

大いに結構です。目標を設定した以上、その達成に向かって努力するのは当然です。その努力の結果を検証し、目標達成が危ぶまれるのであれば対策を講じなければなりません。それに加えて、目標自体、数値だけではなく概念も、が妥当だったかの検証も必要です。それを踏まえて次期の目標は設定されるべきものですから。

「個々の事務局・事務所ごとの目標設定」の際には、事務局・事務所がコントロールできない要因による差を考慮することが必要でしょう。貧困層が多い地域では収納は困難でしょうが、貧困層の多寡を個々の事務局・事務所が同行することはできません。目標設定に当たりこのような事情は配慮できるような「目標設定の方法」考案されてはどうでしょうか。

「その際には、年金制度は国民一人一人のためのものであるという基本的な視点に立って、どこまでが可能で何が困難であるのか、課題や目標は何であるのか等、取組みの実情をできる限り国民に明らかにし、認識を共有しながら対策を推進することとする。」

国民の側も、お客さんではなく、主権者として実情を理解してほしいと言うことでしょう。単純で、分かりやすい目標が問題発生の一因になったことは事実でしょう。単に社会保険庁と職員を叩くだけでは問題は解決しません。

数値目標は、現在の流行ですが、以下に目標を設定するか、まだまだ発展途上で、勉強が必要でしょう。

人気blogランキングでは「社会科学」の43位でした。今日も↓クリックをお願いします。

人気blogランキング