有期契約労働者の賃金 その1

契約社員 その4」の続きで、厚生労働省の「平成17年有期契約労働に関する実態調査結果の概況」(http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/06/h0614-1.html)へのコメントです。 今回はすべての形態を取り上げます。 正社員と非正規社員との賃金のバランスがよく議論されるのですが、正確な比較をするためには、仕事も責任も同じで、同じぐらい長く働いているという条件が必要になります。 この調査では、同じ部署に正社員がいる労働者の割合が示されていて(表35)、業務の専門性、業務に対する責任、業務の恒常性、すべてが同じ労働者の割合が示されています(表38)。かなり比較しやすい労働者の割合が出せます。 結果を見ると、こうなっています。
有期労働者のうち正社員と専門性、責任、業務の恒常性が同じものの割合
形態正社員がいる割合同じ割合同じ労働者の割合
総数76.8%18.9%14.5%
契約社員81.0%32.1%26.0%
嘱託社員83.4%36.8%30.7%
短時間パート74.4%12.6%9.4%
その他パート82.3%20.8%17.1%
その他70.1%22.5%15.8%
まず、同じ部署に正社員がいる割合は、全体では77%です。多くの場合、有期契約労働者だけで構成される部署で働く、有期契約労働者は23%しかいないということです。そのような労働者が比較的多い就業形態は、「短時間のパートタイマー」(26%)と「その他」(30%)です。このような労働者の職種が知りたいです。 次に、業務の専門性、業務に対する責任、業務の恒常性、すべてが同じ労働者の割合です。全体では19%ですから、5人に1人ぐらいですが、これは就業形態によって大きな差があります。高いのは「嘱託社員」(37%)、「契約社員」(32%)、中間は、「その他」(23%)、「その他のパートタイマー」(21%)、低いのが、「短時間のパートタイマー」(13%)です。 最後に、この二つを掛け合わせると、全体に対して、正社員がいて、しかも、業務の専門性、業務に対する責任、業務の恒常性、すべてが同じ労働者の割合が計算できます。 全体では14.5%ですから、7人に1人ぐらいですが、これも就業形態によってかなり差があります。高い方から、「嘱託社員」(31%)、「契約社員」(26%)、「その他のパートタイマー」(17%)、「その他」(16%)、「短時間のパートタイマー」(9%)の順です。 パートタイム問題は、一番議論になりやすいのですが、正社員と同じ条件の本来の意味でのパートタイム労働者はあまりい多くないようです。もちろん、専門性、責任、恒常性のどれかが正社員より高く、後の二つは同じというグループや、他の部署に専門性、責任、恒常性が同じ正社員がいるというグループもいる可能性も考えなければなりませんが。 次回は、このような労働者の賃金に対する意識を見る予定です。 人気blogランキングでは「社会科学」の36位でした。今日も↓クリックをお願いします。 人気blogランキング