嘱託社員

厚生労働省が「平成17年有期契約労働に関する実態調査結果の概況」を発表しました。http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/06/h0614-1.html

パートタイム労働者の多くが有期契約であるので、有期契約労働の問題は、即ちパートタイム労働の問題であると考える向きがあるのですが、この調査をみるとそれだけではないことが分かります。

表2を見ると、確かに「短時間のパートタイマー」は、有期契約労働者全体の55%で、過半数を占めていますが、他にも「その他のパートタイマー」が17%、嘱託社員(定年退職等をした後再雇用された者)が8%、「契約社員」(特定職種に従事し、専門的な技能を活用するもの)も11%います。

産業別に見ても、鉱業、建設業、電気・熱・ガス供給業など、「短時間のパートタイマー」があまりいない業種もあります。

今日は、「嘱託社員」について見てみましょう。

男女比ですが、男性が79%、女性が21%です(表3)。定年退職後の再雇用という条件からこうなるのでしょう。私の予想より女性の比率は高いようです。女性は定年退職などしたら、もう働きたくないと言う方が多いのではないかと予想していました。

ただ、年齢構成を見ると(表25)、女性では、随分若い方が多く、定年退職ではなく、結婚、出産、育児などを契機に辞めた方がいるような気がします。そうだとすれば、この男女比は理解できます。

嘱託社員を雇用する理由(表4)のトップは「経験等を有する高齢者を活用するため」で69%です。妥当な結果でしょう。次が「専門的な能力を有する人材を一定期間確保・活用するため」で37%。三位が「人件費節約のため」です。

高年齢者の雇用確保措置が今年度から義務化されましたので、今後嘱託社員は増えていくでしょう。うまく経験、能力を活用できればと思います。

契約期間を見ると(表6)、「6ヶ月以上1年未満」が69%です。おそらく1年というのが多いのでしょう。

問題になることの多い契約更新ですが(表7)、「個々の労働者のケース毎に更新するかどうかを判断する」のが59%ですが、「労使のいずれからも終了を申し出なければ自動的に更新する」も29%あります。定年退職者の場合には、体調の問題もあるので個々の判断がどうしてもでてくるのでしょう。

労働者の意見を見ると(表33)、「契約を更新したい」が64%で、必ずしも全員が更新を望んでいるわけではありません。二位が「しばらく働かない、引退したい」の13%です。この表、できれば男女別、年齢別が欲しいところです。男女、年齢によりかなり答えが違う気がします。

ついでに、後どれぐらい働きたいか(表34)では、「1年超3年以内」が44%、「3年超5年以内」が28%です。8割以上が5年以内です。定年後ということであれば、自然な数字です。

事業所側に、契約更新の基準を聞くと(表10)、「本人の意志による」の65%と「労働者の勤務成績・勤務態度による」の61%が拮抗しています。第三位と第四位は「事業所の経営状況による」、37%と「期間満了時の業務量による」36%で、こちらも競り合いです。

契約更新の時の労働条件の見直しは(表11)、「自動的に前回と同じ条件で更新する」が49%と、ほぼ半数です。「勤務成績・勤務態度を考慮して労働条件を決定する」は39%です。他の形態に比べると自動更新の方が高いのが特徴です。

(続く)

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