パートタイム労働者の賃金 その3

パートタイム労働者の賃金」にfhvbwxさんからコメントとご質問をいただきましたので、お返事します。

まず、なぜ、女性労働者に限ったのかというご質問です。

男性パートタイム労働者には、異質な二つの大グループが存在します。若年のパートタイム労働者と定年退職後、継続雇用されたり、再雇用されたりするグループです。他にも小さなグループが存在しているだろうと推測しています。

本田先生の問題意識は、おそらく前者と女性で、後者は含まれていないと思います。ひょっとすると若年でない女性も含まれていないのかもしれませんが・・・。

男性パートタイムについては、二つのグループを分けて賃金(所定内給与÷所定内労働時間)の分布が示されていません。このため男性では分析が不可能です。一方、女性にはそういう問題はないので、女性で書きました。

なお、若年男性パートタイム労働者と女性パートタイム労働者ではあまり賃金に差がないと思います。「同一労働同一賃金のアイロニー その3」をご覧下さい。

次に、所謂103万円の壁のせいで女性労働者が時給の増加を望まないのではないかと言う点です。女性労働者の立場からすれば時給が高くなれば、労働時間を減らせばいいので、そういうことはあまりないと思います。労働時間を企業から指定された場合は別ですが。

むしろ、企業の側から見て、時給を上げたら労働時間を減らされてしまうので、あげる意味がない、従ってあげないと言う行動は理論的にはあり得ると思います。実態は私にはよく分かりません。

三番目に、一般労働者の労働時間の分布を考えずに、一般労働者の1時間あたり所定内給与の散らばりとパートタイム労働者の1時間あたり所定内給与の散らばりを比較するのには無理があるとのご指摘はその通りです。私の記事でも、一応はお断りしたつもりでした。

なお、女性の一般労働者については中央の50%の範囲なら、ほとんど所定内労働時間に差がないことが知られています。しばらく前の賃金構造基本統計調査の分析結果ですが。

多少、差があったとしても、それによってパートタイム労働者の賃金の散らばりまで、小さくなることはまず舞だろうと思っています。正確にはやってみないとわからないので、あくまで推測です。

なお、「時給」という言葉について一言。私は「時給」という言葉と「1時間当たり所定内給与」を区別して使うことにしています。

時給は本給が1時間あたりいくらと決められているときの用語として使っています。パートタイム労働者には本給以外に精勤手当、皆勤手当などが支払われることがあります。これも予め決まっている場合は「所定内給与」です。(超過勤務、休日出勤に対する支払いは所定外給与です。)

つまり

所定内給与=時給×労働時間+手当

となります。1時間あたり所定内給与は、結果として支払われた所定内給与を労働時間で割ったものです。

私が賃金といったのは後者です。

最後に、統計についてのリクエストですが、うーん、ごもっともではあるのですが。何かいい方法がないか考えてみます。できれば、あまり、期待なさらないでください。

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