リフレ政策の検討 その7

リフレ政策の検討 その6」にrascalさんから、コメントをいただきましたので、とりあえずのお返事を。

実は、最初に書いて置いたように私は自分がリフレ政策を十分理解できているとは思わないので、「総需要の喚起につながるかどうかわからない」というのが「私には判断がつかない」という意味なら、その通りです。

一番わからなくて困っているのは、これです。

日銀が今の時点で長期国債を買い始めたとき、民間の主体は将来物価が上がり始めると予想するかどうか。今まで書いてきたのは、この問題に対する自問自答です。一部表現がわかりにくいところがありますが。

他の多くの主体が、ご指摘のような経路で物価が上がると予想するだろうと考え、それに基づいて物価が上昇し始めるという予想を形成する主体ももちろんあり得るでしょう。随分、動学マクロ経済学に詳しく、且つ、他の主体も動学マクロ経済学に詳しいと考える主体のようですが。

経済学の理論の問題として期待形成を考えるときには、合理的期待形成を想定して議論するのが作法だと思いますが、経済政策を論ずるなら、今の日本でどのような期待が形成されるかを考えなければなりません。決して経済学を馬鹿にしているわけではありません。

国債買い入れから、直接期待形成に行くのではなく、例えば、国債買い入れ金利低下→投資増加→総需要増加→物価上昇→物価上昇期待の形成なら、むしろわかりやすいのですが。そうではないとするとどのような期待形成メカニズムがあるのかが、よくわからないのです。

今、頭を悩ませている問題が、後二つあります。

1 リフレ政策を採る前に、輸入インフレが発生したとき、何が起こるか?金融政策でホームメイドインフレを起こしたときと同じ結果になるのか?購買力の流出があるので、違う結果がもたらされる可能性があります。輸入インフレが起こったとき、さらにリフレ政策を採るべきでしょうか?

これは現実に起こる確率がかなり高いシナリオなので、気になります。もう一つがこれです。

2 ここ数年、GDPデフレーターはマイナス、消費者物価もマイナスですが、企業物価はプラスです。すると、企業を相手に商売をしている企業にとっては、デフレではなかったということになります。これと経済全体の関係をどう考えたらいいのか?

まだまだ、自問自答、試行錯誤を続けなければなりません。考えているうちに物価下落が終わってしまうかもしれません。

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