基礎年金と国民年金 その3

今日は、「基礎年金と国民年金 その2」で出した問題、「月額保険料を最高でも1万5千円に抑えるためにはいくら積立金が必要なのか?」に答えたいと思います。もう一つの問題、「どうやって積立金を増やせばいいのか?」は次回に回します。 答えは「2006年期首に85兆円あればいい」です。 2005年はじめに85兆円あり、物価上昇分を差し引いても2.4%で運用すると、2030年期首には154兆円になります。 前回書いたように2030年が、保険料が1万5千円を突破する年です。この年保険料を15千円に抑えると給付に必要な額に480億円足りません。そこで、積立金を取り崩すことになる訳ではありません。積立金には利子が付きます。この利子が3兆6千億円ほどになりますから、不足額を補って、なお余裕があります。積立金は増え続けます。 無限に増え続けるといいのですが、そうはいきません。不足額がだんだん大きくな利、利子で補いきれなくなるからです。2042年始めには積立金は173兆円になります。利子は4.2兆円つきますが、不足額は4.3兆円になっています。ここでは1千億円取り崩すことになります。 取り崩し額が最大になるのは2053年です。この年はじめの積立金は163兆円に減っています。利子の額は3.9兆円、不足額は5.4兆円です。取り崩し額は1.5兆円です。 その後も取り崩しは続き、利子は減っていきますが、それ以上に不足額が小さくなっていきますので、取り崩し額は減っていきます。 2097年には、期首の積立金は119兆円まで減ります。この年、再び利子が不足額を上回り、積立金は増え始めます。2100年最初には、積立金は120兆円になります。この年の給付額は12兆円ですので、約10年分の積み立てということになります。十分な積み立てといえるでしょう。仮に給付額の1割を積立金で賄わなければならなくなっても、100年持ちます。 さて、これでは積み立てすぎではないかと思われる方がいらしゃるはずです。2006年に85兆円も積み立てなくても、1万5千円に抑えることができるのではないかということです。 実はその通りです。85兆円は十分な額で、必要最小限の額ではないのです。 ここでして計算は、厚生労働省の試算に基づいていますが、この試算には出生率や賃金上昇率など様々な仮定があります。このような仮定がはずれ、財政が厳しくなってもある程度の余裕があります。 また、2006年に20歳で保険を払うべき若者は2100年には114歳です。まあ、生きてはいないでしょう。つまり死ぬまで年金財政は破綻せず、給付を受け取れるのは確実という額、それが85兆円です。 人気blogランキングでは「社会科学」の27位でした。クリックしていただいた方、ありがとうございました。今日も↓クリックをお願いします。 人気blogランキング