派遣労働者と学歴

派遣労働者の中途解約」の続きです。 派遣労働者には、高学歴の若い女性というイメージがあるようです。 女性の派遣労働者の年齢は、表14に、学歴は表15にあります。 http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/haken/04/kekka7.html 「若い」とか「高学歴」といっても、何を基準に考えるかという問題があります。 そこで、賃金構造基本調査の女性の一般労働者(フルタイム労働者)と比較してみました。 http://wwwdbtk.mhlw.go.jp/toukei/kouhyo/data-rou4/data16/10101.xls 平均年齢は女性の派遣労働者は33.9歳、女性の一般労働者が38.3歳ですから、確かに派遣労働者の方が「若い」といえます。 学歴も、派遣労働者の方が高いようです。しかし、皆さんご承知のように、日本の女性の学歴は年々上がってきています。つまり、若い女性ほど学歴が高いのです。 すると、派遣労働者は若いのだから、その分、学歴が高いのは当たり前とも言えます。 言い換えると「『同じ年齢の派遣労働者と一般労働者を比べれば学歴が同じ』であっても、『派遣労働者が若い』から全体で比べると派遣労働者の方が高学歴に見えている」という可能性があるのです。 そこで、「もし、一般労働者の年齢構成が派遣労働者と同じだったら、学歴はどうなるか」を計算してみました。これと派遣労働者の学歴が同じなら、「派遣労働者の学歴が高いのは、単に年齢が若いから」ということになります。 結果は、こうなりました。なお、派遣労働者の「専修学校(専門課程)は「短大」と考えました。
学歴(女性労働
学歴派遣労働者一般労働者一般労働者(調整後)
中卒1.9%5.2%1.8%
高卒34.9%47.0%38.9%
短大卒40.5%32.2%38.3%
大卒22.7%15.6%20.9%
年齢構成の差を考えないで、派遣労働者と一般労働者を比べると、派遣労働者の方が相当学歴が高いように見えます。短大卒の割合は派遣が40.5%なのに一般労働者では32.2%ですし、大卒の割合も、派遣労働者は22.7%あるのに一般労働者では15.6%しかありません。 でも、年齢構成を調整してみると、短大卒では40.5%対38.2%、大卒では22.7%対20.9%です。それほどの差ではありません。 要するに、「女性に限れば、確かに派遣労働者の方が学歴が高いが、その差のほとんどは派遣労働者の方が年齢が若いからだ。同じ年齢を取れば差がないわけではないが、それほど大きなものはない。」ということです。 以前はもっと大きな差があったのかもしれません。派遣労働も変わってきているのでしょう。 人気blogランキングでは「社会科学」の23位でした。クリックしていただいた方、ありがとうございました。今日も↓クリックをお願いします。 人気blogランキング