財政再建・試算・現状

財政再建」は理屈の話をしました。今回は、いくつかの試算をしてみます。 とりあえず、3つのケースを作ります。もっと、増やすかもしれませんが。 どのケースでも共通の条件は、 1 最初の国債発行残高は、550兆円 2 最初の名目GDPは、500兆円。 です。 第一のケース 条件は次の通りです。 1 名目金利は、1.4%。 2 名目GDP成長率は、-0.8% 3 毎年の国債関係以外の支出の内税収でまかなえない額は、16兆円。 「財政再建」の「梅の計算式」の条件も満たしていません。財政健全度は「竹」にもなっていません。 名目GDPの成長率はマイナスですから、だんだん小さくなっていきます。一方、赤字を出し続けるのですから、国債残高は増えていきます。容易にご想像いただけるでしょうが、この場合破局を迎えます。試算してみましょう。
第一の試算(兆円、倍)
国債発行残高名目GDP倍率
0年5505001.10
10年目6974761.46
20年目1,0934262.57
30年目1,4263933.63
40年目1,8093634.99
50年目2,2503356.72
50年目の利払費は、31兆円、名目GDPの9.3%になります。 ここまで来ると、破局と言っていいでしょう。想定した名目利子率、名目GDP成長率の数字は、ほぼ1998年から2003年の実績の平均です。税収で国債の元利の支払い以外の支出を賄いきれない額は17年度の予算に近い数字です。こういう事態が続くと50年後にはこうなると予想されます。機械的な予測ですけれども。 今のままでは、まずい。何らかの手を打つ必要があるということです。次回は、財政再建を行った場合の試算をして見ようと思っています。 人気blogランキングでは「社会科学」の39位でした。クリックしていただいた方、ありがとうございました。今日も↓クリックをお願いします。 人気blogランキング このページから、読み始められた方へ(8月24日追記) このページで「松」、「竹」、「梅」という言葉がでてきます。その意味は 「利払費」と 「財政再建」をお読み下さい。 この記事のケース以外にもいくつか試算しています。名目成長率が名目利子率より低いとき財政収支を改善したら何が起こるかについての試算は「財政再建・試算・「竹」と「松」」をお読み下さい。 名目成長率を名目利子率より少し大きくすることに成功した場合については「財政再建・試算・「梅」」をお読み下さい。 名目成長率を名目利子率よりかなり大きくすることに成功した場合については「財政再建・試算・梅の謎」をお読み下さい。 よく名目成長率を名目利子率より大きくすることに成功すれば、財政は持続可能であるといわれますが、必ずしもそうではないと思っています。どのような場合に持続可能となるかについて私の意見を聞いていただける方は、 「名目か実質か」をご覧下さい。 このシリーズは長くなったので、まとめを作ってあります。「財政再建・最後の試算」をご覧下さい。