パートタイム労働者が減りはじめた?給料は増え始めた? その2

パートタイム労働者が減りはじめた?給料は増え始めた?」の続きです。

さて、なぜパートタイム労働者が減り始めたのか?この問題は、「「パートタイム労働者が増えなくなったのはなぜ? その1?」以降の記事ででだいぶ書きましたので、繰り返しません。ご関心のある方は、こちらの記事をお読み下さい。

なお、今回の発表は速報なので、15日発表予定の確報で、変わるかもしれません。

賃金の話に戻ります。

フルタイム労働者とパートタイム労働者を合計すると去年の同じ月に比べて所定内給与は0.6%増えています。でも、フルタイム労働者では0.1%増えているだけですし、パートタイム労働者では0.5%減っています。

数値は、毎月勤労統計4月の速報http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/17/1704p/mk1704p.html

の第1表を見てください。

なぜこんなことが起こるのでしょう。

フルタイム労働者の賃金は100。

パートタイム労働者の賃金は30とします。

フルタイム労働者が一人、パートタイム労働者も一人だと、受け取った賃金の合計額は

100×1+30×1=130

です。これは二人分ですから一人あたりの平均を計算すると

130÷2=65

です。

ここでパートタイム労働者が増えて二人になるとします。賃金は100と30で変わらないとします。

受け取った賃金の合計額は、

100×1+30×2=160

です。これは三人分ですから、一人あたりを出すと

160÷3=53.333・・・

です。フルタイム労働者に賃金もパートタイム労働者の賃金も全然変わっていなくても、賃金の低いパートタイム労働者の割合が高くなると平均賃金は下がってしまうのです。

これまでは、ずっとパートタイム労働者の割合が増え続けていたので、平均賃金は下がり気味でした。4月は、逆にフルタイム労働者の割合が高くなったので、平均賃金が上がったということです。

なお、パートタイム労働者の所定内給与が減ったと言っても、所定内労働時間も、1.4%減っています。つまり1時間あたりで見れば、0.9%ほど賃金はあがっています。労働時間については、先ほどの速報の第2表をご覧下さい。

雇用も増え、平均賃金も増え、パートタイム労働者の1時間あたり給与も増えているのですから、労働市場は、「まずまず、回復」と言っていいでしょう。特にフルタイム労働者が増え始めたのは、いい傾向です。

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