同一労働同一賃金のアイロニー その2
「同一労働同一賃金」という仕組みが、労働者からみて「もっともだ、納得がいく」といえるかどうか。
まず、何を同一労働とするかについて納得を得ることが大事です。同じ労働をしても成果に大きな差がでるようなときは、この制度は適用できないでしょう。また、労働そのものに労働者の自己裁量が働くときも、同一労働というものが考えにくくなります。
たとえばセールスマン(パーソン)などは、一見同じように働いていたとしても、個人の腕、努力が成果、つまり単純に言えば売り上げに大きく影響します。セールスマン(パーソン)には同一労働同一賃金よりも販売量に応じた賃金、成果主義的な賃金の方が納得を得やすいでしょう。
こう考えると、同一労働同一賃金が納得を得られやすいのは、かなり定型化されていて本人の裁量や努力がそれほど仕事の成果に反映しないような仕事の場合に限られだろうと思われます。
もう一つ問題になりそうなのは、「同一労働同一賃金」の裏にある「異なる労働異なる賃金」です。
ここでも賃金格差は生じますが、それに皆が納得するでしょうか。逆に言うと皆が納得するような、仕事の評価を企業ができるでしょうか。
一つの方法は、市場の賃金に任せるということなのですが、そのためには、転職がかなり盛んな流動的な市場でなければならず、それはそれで、人事の管理、長期的な養成を考えると、結構、難しい問題をはらんでいるような気がします。
結局、同一労働同一賃金の原則を適用できる範囲は限られており、それを適用しても「異なる労働異なる賃金」の格差が発生する訳です。
しかし、現在「同一労働同一賃金」の原則が適用されている職場は広がっています。
(続く)
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