同一労働同一賃金のアイロニー その3

現在、「同一労働同一賃金」の原則が適用されている職場は広がっています。

それは、パートタイム労働市場です。

パートタイム労働者の場合、年功序列的な賃金にはなっていません。

http://wwwdbtk.mhlw.go.jp/toukei/kouhyo/data-rou4/data15/31301.xls

男女格差を調べてみました。「同一労働」で比べるので、同じ職種についている男女の1時間あたり所定内給与の比率を調べました。男性を100とした女性の比率です。男女平均の1時間あたり所定内給与も調べました。労働者が少ないと統計にゆがみがでやすいので、男女とも1万人以上いる職種を調べました。

http://wwwdbtk.mhlw.go.jp/toukei/kouhyo/data-rou4/data15/31601.xls

スーパー店チェッカー 106    861円

百貨店店員       101    917円

販売店員          98    836円

調理師           82     896円

調理師見習い       95    861円

給仕従事者         96    873円

娯楽接客員       106  1,060円

ビル清掃員         88    894円

調理師、ビル清掃員をのぞくと大きな差はありません。女性の賃金の方が高い職種もあります。

パートタイム労働者の賃金は、同一労働同一賃金に近いと言えるでしょう。また、これらの職種ではパートタイム労働者の割合が高くなってきています。パートタイム労働者の数がフルタイム労働者の数を上回っている職種もたくさんあります。

つまり、同一労働同一賃金の原則の広がっている職場が増えてきているのです。

しかし、これで「よかった、よかった」と満足する方は多くはないでしょう。これらの職種の賃金が安いからです。

なぜそうなるのでしょう。理由は単純なことだと思います。

同一労働同一賃金が納得を得られやすいのは、かなり定型化されていて本人の裁量や努力がそれほど仕事の成果に反映しないような仕事の場合に限られだろうと」と前回書きました。

先ほど書いた職種はだいたいこれに当てはまります。そして、「かなり定型化されていて本人の裁量や努力がそれほど仕事の成果に反映しないような仕事」というのは、多くの人がこなすことのできる仕事、つまり、需要に比べて供給が多く、付加価値も少ない低賃金の仕事なのです。

同一労働同一賃金が低賃金の仕事で実現し、それが広がりつつある。これが日本の労働市場の現実です。

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