雇用不安を払拭せよ

内閣府が作っている統計に、消費動向調査というものがあります。 調査の概要はこちら。http://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/shouhi/shouhi_gaiyou.html 複数の調査項目があり、月によって調べる項目が変わるのですが、毎月調べられ、発表されている項目が消費者の意識(今後の暮らし向きの見通しなど)、物価の見通しです。このほか、世帯の状況も毎月調べられています。 この中に雇用の見通しという項目があります。「(前略)雇用環境は今後半年間に良くなると思いますか、悪くなると思いますか。(以下略)」という問に対して、次の5つの選択肢から選んでもらいます。 良くなる やや良くなる 変わらない やや悪くなる 悪くなる この選択肢にそれぞれ、1点、0.75点、0.5点、0.25点、0点を与え、平均値を出して指数にしています。したがって、良くなると悪くなる、やや良くなるとやや悪くなるという回答の割合が同じだと変化なしだと指数は50になります。 良くできた指数だと思うのですが、解説によると「世帯が勤労者世帯の場合は勤め先の職の安定性、個人営業及び企業経営の場合は人のとりやすさ等の状況、それ以外の場合は職のみつけやすさ等を地域的にみて、今後半年間に今よりも良くなると思うか、悪くなると思うか。」を答えてもらっているそうで、雇用環境の意味が勤労者世帯と勤労者世帯と個人営業、企業経営の場合で意味がさかさまになっています。各世帯の消費につながるという意味では同じ方向かもしれませんが。なお、個人営業世帯、企業経営世帯がこの趣旨通り回答しているかどうかは分かりません。調査票しか読まないで回答する方もいると思います。 そこで二人以上の勤労者世帯についてこの指数が公表されていますので、調べてみました。勤労者世帯は次の世帯です。 勤労者(正規雇用)世帯 世帯主が期間を限定せず契約を結ぶ雇用形態で働いている(勤め先では「正規の職員・従業員」と呼ばれる)世帯。例えば、民間企業従事者、官公庁職員、常用労務者、臨時及び日雇い労務者の世帯をいう。ただし、会社の社長、取締役など程度の高い企画管理に従事するものは、法人経営者に該当するため「自営業者世帯」とする。 勤労者(非正規雇用:パート、アルバイト、派遣など)世帯 世帯主が期間を限定した契約を結ぶ雇用形態で働いている(勤め先で「パート」「アルバイト」「派遣社員」「契約社員」「嘱託」と呼ばれている)世帯。 ここで、「世帯主」という言葉が出てきますが、この調査では、「世帯の主たる収入を得ている者」を世帯主としています。 雇用環境(勤労者)
2014年2015年2016年
1月49.745.045.30.3
2月47.346.042.4△3.6
3月46.547.944.8△3.1
4月45.948.743.7△5.0
5月47.548.144.0△4.1
6月48.648.344.4△3.9
7月49.245.843.1△2.7
8月47.946.645.2△1.4
9月46.544.945.60.7
10月44.744.7
11月43.145.4
12月43.645.4
これを見ると2016年の2月以降8月まで、前年同月に比べて悪化が続いていました。雇用情勢がよくなっていても、勤労者家計の不安は募っていた訳です。9月はやや改善です。 雇用情勢がよくなり、少し人手不足、賃金上昇の傾向がみられると、すぐに外国人労働者受け入れの検討が始まるなど勤労者の不安感を募らせるような議論が行われ、それが実現しそうになります。これでは、せっかく雇用情勢がよくなっても勤労者家計の消費は増えません。 勤労者家計の不安を払しょくするような政策が必要です。 人気blogランキングでは「社会科学」の6位でした。今日も↓クリックをお願いします。 人気blogランキング