6月は63万人と4月の水準まで回復しました。通常、正社員の数は4月、5月がピークでその後は下がるのですが、異例の事態です。統計のブレという可能性もありますが、20歳、21歳の正社員が前年、全前年を上回っていることは確かでしょう。この年齢層の人口に占める正社員の割合も前年同月を3.3ポイントも上回る高い水準です。
正社員の数(万人)月 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 差 |
---|
1月 | 44 | 48 | 49 | 1 |
2月 | 44 | 49 | 49 | 0 |
3月 | 45 | 54 | 54 | 0 |
4月 | 60 | 59 | 63 | 4 |
5月 | 59 | 58 | 59 | 1 |
6月 | 53 | 55 | 63 | 8 |
7月 | 52 | 57 | - | 5 |
8月 | 54 | 53 | - | △1 |
9月 | 53 | 56 | - | 3 |
10月 | 51 | 54 | - | 3 |
11月 | 53 | 51 | - | △2 |
12月 | 55 | 53 | - | △2 |
5月を取り上げた「
20/21歳正社員も60万人割れ、まだ労働供給には余裕がある」では、次のように書きました。
「20/21歳正社員 2016年3月」では、「この年齢層の正社員の数は前年の同じ月に比べて増えているとは言えません。企業は主にこれよりも少し学歴が上の大卒者を中心に人的資本の再蓄積に乗り出しているといえそうです。」と書きましたが、4月には63万人と前年同月を4万人上回っていました。5月は1万人増です。採用はしたけれどということでしょうか?高卒の定着に問題があるのでしょうか?
どちらも杞憂だったようです。この年齢層でも正社員採用は増えていますし、定着も悪くなさそうです。
人口に占める正社員の割合(%)月 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 差 |
---|
1月 | 17.7 | 17.9 | 18.8 | 0.9 |
2月 | 17.9 | 18.5 | 19.7 | 1.2 |
3月 | 18.1 | 20.8 | 21.6 | 0.8 |
4月 | 23.1 | 23.2 | 23.7 | 0.5 |
5月 | 22.9 | 22.6 | 22.5 | △0.3 |
6月 | 20.5 | 20.8 | 24.1 | 3.3 |
7月 | 20.2 | 22.0 | - | 1.9 |
8月 | 20.8 | 20.2 | - | △0.7 |
9月 | 21.0 | 20.9 | - | △0.1 |
10月 | 20.2 | 21.1 | - | 0.9 |
11月 | 20.3 | 19.9 | - | △0.4 |
12月 | 20.6 | 19.9 | - | △0.7 |
(注)2014年、15年を見る限り、この率は季節的に変動するようです。学卒者が採用される年度初めの4月が一番高くそれ以降下がる傾向にあります。下げ幅は22歳から24会に比べると小さく、2014年の4月と2015年の3月を比べると2.3ポイントの低下、2015年の4月と2016年の3月を比べると1.6ポイントの低下です。
労働市場がタイトになると、下げ幅が小さくなるようです。
それでは、正社員増のあおりを食ってパート、アルバイトは減っているのでしょうか。そうではありません。71万人で1万人増加しています。通学の傍ら仕事をしている人は55万人で5万人増えています。
別に人口が増えているわけではありません。261万人で前年の5月より3万人減っています。
労働力人口は158万人で前年同月比11万人増加し、就業者は149万人でやはり、11万人増加しています。つまり働き口が増えた分だけ働く人が増えたのです。人口が減り、
労働力人口が増えていますから、
労働力率は急上昇しています。
労働力率は60.5%で4.8ポイント上昇です。就業率も同じように52.3%から57.1%に4.9ポイントも上昇しています。この層は仕事さえあれば
労働市場に戻ってきて働き始めるのです。労働供給に制約があるわけではありません。
完全失業者は、8万人で1万人減少、率は5.1%で1.0ポイント低下です。しかし、仕事の口があれば
労働市場への参加者が増えるのですから、失業率が低くても、労働供給には余裕があるというべきでしょう。
完全雇用ではありません。
なお、通学の傍らは働いている人は55万人、働かずに通学している人は95万人です。正社員と合計すると213万人で人口の82%です。これだけは人的資本の蓄積が進んでいるといっていいでしょう。
なお、通学している人は13万人減っています。
労働市場の改善により通学のアドバンテージが減ったということでしょう。学校は大変かもしれません。
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