毎月勤労統計の5月分確報で調べてみました。
パートタイム労働者の動き産業 | 労働者数 | 同増加率 | 労働時間 | 労働投入 | 1時間当たり賃金 |
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調査産業計 | 1,476 | 3.1 | △2.1 | 1.0 | 2.0 |
卸売業・小売業 | 386 | 0.8 | △0.7 | 0.1 | 2.7 |
飲食サービス業等 | 343 | 4.2 | △2.7 | 1.5 | 3.5 |
医療・福祉 | 202 | 4.9 | △0.2 | 4.7 | 0.0 |
製造業 | 114 | 0.1 | △2.6 | △2.5 | 1.3 |
その他サービス | 111 | 1.4 | 1.1 | 2.5 | 1.4 |
教育、学習支援 | 93 | 9.0 | △0.1 | 8.0 | 1.3 |
生活関連サービス | 85 | 5.9 | △6.9 | △1.0 | △0.1 |
労働時間は一人平均月当たり総実労働時間
労働投入は労働者数×労働時間
1時間当たり賃金は1時間当たり所定内給与
変化は対前年同月比
いくつかのタイプに分けることができそうです。
まず最も労働者数の多い卸売小売業から。賃金は上昇し、労働投入はほとんど増えていません。需要曲線は右にシフト(需要は増加)し、供給曲線は左にシフト(供給は減少)した結果とみることが妥当です。賃金引き上げの効果があって、労働者数は増えていますが、労働者一人当たり労働時間が減っています。第二位の飲食サービスも似た傾向です。ただ、賃金上昇率がさらに高く、労働者数の伸びも、労働時間の短縮も卸売・小売業を上回っています。労働投入の増加もやや高めです。短時間だけ働く労働者が新たな供給減になっている可能性が高いと思われます。
これら二つは賃金上昇率が比較的高いのですが、1%台にとどまっていて、労働投入の伸びが高いのが、その他のサービス業と教育・学習支援です。その他サービス業では労働時間は増えています。その他サービス業では「
多くの産業でパートタイム労働者の労働時間は短縮している」で見た4月では減っていた労働者数が増えています。教育、学習支援では労働者数の伸びが高く、労働投入が最も増えています。需要が増えつつ、供給は減っていないのかもしれません。
第4位の製造業は賃金が上昇しつつ、労働投入が減っています。需要の増加を供給の減少が上回っているようです。
第3位の医療・福祉は特異な動きを示しています。賃金は上昇せず、労働投入は増えています。労働時間はほぼ横ばいで、労働者数が増えています。需要と供給がバランスよく増加していると思われます。
最後に生活関連ですが、賃金は横ばい、労働投入も横ばいです。変化がないようですが労働者数がかなり増加し、労働時間の大きく短縮しています。長時間働く労働者が離れていき、短時間しか働かない労働者の採用を進めているようです。
パートタイム労働者は入職率、
離職率とも一般労働者より高く、
流動性の高い労働者層です。フルタイムにも変わりますし、産業も移動します。これによって、効率的な労働資源の配分がなされます。どのような移動が行われているのか、興味深いです。
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