11月分が発表になりました。
9月までの税収の動き(百万円)項目 | 所得税 | 法人税 | 消費税 |
---|
実績(A) | 9,959,851 | 4,251,541 | 8,114,059 |
昨年度同期実績(B) | 8,995,618 | 4,645,756 | 5,922,830 |
倍率(C)=(A)/(B) | 1.107 | 0.915 | r1.3707 |
昨年度決算額(D) | 16,790,227 | 11,031,608 | 16,028,958 |
今年度予想(E)=(C)×(D) | 18,586,781 | 10,093,921 | r18,506,929 |
今年度予算(F) | 16,442,000 | 10,990,000 | 17,112,000 |
超過予想(G)=(E)-(F) | 2,144,781 | △896,079 | r1,394,929 |
補正予算案(H) | 17,590,000 | 11,741,000 | 17,112,000 |
超過予想(I)=(E)-(H) | 996,781 | △1,647,079 | r1,394,929 |
(注)
法人税は税率が25.5%から23.9%へ引き下げられており、課税所得が同じであれば税収は6.7%減るはずです。ただこのほかにもいろいろな改正が行われており、こう簡単ではありません。
国税としての消費税の税率は6.3%です。他に
地方消費税のものが1.7%あり、これを合わせて普通税率8%と言っています。これまでは
国税4%、
地方税1%でした。この点から見ると税収はもっと増えてもいいのかもしれません。なお、平成29年(2017年)4月から、消費税率は、1.238倍の7.8%へ、
地方消費税率は2.2%へそれぞれ引き上げられます。
https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/shohi/h27kaisei.pdf
上の表では最
新月までの実績が昨年同期に比べてどれだけになるか、その倍率を計算し、その倍率を昨年決算額にかけて予想を出しています。昨年度の消費税の実績は税率変更の影響があるようです。税率を引き上げてもその税金が納められるのは少し後です。そのためこのような方法で予想すると、予想がやや過大になっているかもしれません。→2016年1月12日追記。この点を考慮して予想を修正しました。
このように予測をすると、
所得税、
法人税、消費税で当初予算を2兆6,436億円
6兆6,894億円超過することになります。これを見ると、「
2015年度の税収予想(10月実績から)」で「
法人税は、年度分のおよそ3分の1が11月に納付されます。これは3月決算法人の9月中間決算に基づいて納税が行われるためです。次回、11月分で
法人税の見通しがついてくると思われます。」と書きましたが、かなり確度が高くなってきました。当初予算をやや下回る程度です。
「
2015年度の税収予想(10月実績から)」で、「
所得税と
法人税は今年度の税収が昨年度の実績を下回ると見積もられています。非現実的といわざるを得ません。」と書きましたが、
補正予算案では上回るという見積もりに改められました。
上の表に追加しておきましたが、
補正予算案でも、見積もりは過少と思われます。この補正では、消費税の見積もりが変更されなかったのが主因です。実績が既に2兆円以上増えているのに1兆円しか増えないとしているのは不自然です。消費の勢いにそれほど不安があるのでしょうか?消費税の軽減税率の問題や、
プライマリーバランスの黒字化目標を達成するための消費税率引き上げの議論が行われているときですから、もう少しはっきりとした見通しを出すべきだったのではないでしょうか?
、「
2015年度の税収予想(10月実績から)」で書いた次の意見に変わりはありません。
税収の増加は喜ばしいことではありますが、現実には景気にマイナスの影響を与えます。過少な見積もりに基づいて過大な税率の引き上げを行い、景気を悪化させ、結果として税収が減り、景気対策のための支出が増えかねません。正確な予測が無理であるにせよ、途中までの実績を無視するべきではありません。
最近、景気が停滞しているとすれば、財政障害を疑うべきでしょう。補正予算の編成も必要でしょうが、今年度の景気対策としては間に合いそうにありません。17年度の消費税率の引き上げは半分の1%にとどめることを決めるべきでしょう。
人気blogランキングでは「社会科学」の8位でした。今日も↓クリックをお願いします。
人気blogランキング