10月分の実績(
http://www.mof.go.jp/tax_policy/reference/taxes_and_stamp_revenues/h201510.htm)
が発表されましたので、試算してみます。
9月までの税収の動き(百万円)項目 | 所得税 | 法人税 | 消費税 |
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実績(A) | 8,660,210 | 960,876 | 6,058,498 |
昨年度同期実績(B) | 7,750,501 | 1,270,612 | 4,461,813 |
倍率(C)=(A)/(B) | 1.117 | 0.756 | 1.358 |
昨年度決算額(D) | 16,790,227 | 11,031,608 | 16,028,958 |
今年度予想(E)=(C)×(D) | 18,754,684 | 8,339,896 | 21,767,325 |
今年度予算(F) | 16,442,000 | 10,990,000 | 17,112,000 |
超過予想(G)=(E)-(F) | 2,312,684 | △2,650,1049 | 4,655,325 |
(注)
法人税は税率が25.5%から23.9%へ引き下げられており、課税所得が同じであれば税収は6.7%減るはずです。ただこのほかにもいろいろな改正が行われており、こう簡単ではありません。
国税としての消費税の税率は6.3%です。他に
地方消費税のものが1.7%あり、これを合わせて普通税率8%と言っています。これまでは
国税4%、
地方税1%でした。この点から見ると税収はもっと増えてもいいのかもしれません。なお、平成29年(2017年)4月から、消費税率は、1.238倍の7.8%へ、
地方消費税率は2.2%へそれぞれ引き上げられます。
https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/shohi/h27kaisei.pdf
上の表では最
新月までの実績が昨年同期に比べてどれだけになるか、その倍率を計算し、その倍率を昨年決算額にかけて予想を出しています。昨年度の消費税の実績は税率変更の影響があるようです。税率を引き上げてもその税金が納められるのは少し後です。そのためこのような方法で予想すると、予想がやや過大になっているかもしれません。
このように予測をすると、
所得税、
法人税、消費税で予算を4兆3,179億円超過することになります。「
2015年度の税収予想(9月実績から)」での予想から減少しました。
所得税の見込みが前回よりも大きく下方修正、消費税が少し下方修正になっています。
法人税は上方修正です。これを見ると、消費税の軽減税率の財源探しの議論が非現実的に思えてきます。
ちなみに、一般会計分全体で、同じ計算をすると、税収は60.4兆円になります。予算での見積もりを5兆9千億円上回ります。これまでの累計と前年度の同期とを比較すると2兆円以上増えています。現実はこの2つの方式による試算値の中間に落ち着くのではないかと思います。
法人税は、年度分のおよそ3分の1が11月に納付されます。これは3月決算法人の9月中間決算に基づいて納税が行われるためです。次回、11月分で
法人税の見通しがついてくると思われます。
上の表を見ていただければわかるように、
所得税と
法人税は今年度の税収が昨年度の実績を下回ると見積もられています。非現実的といわざるを得ません。
消費税の軽減税率の問題や、
プライマリーバランスの黒字化目標を達成するための消費税率引き上げの議論を、当初予算での見込みに基づいて行うことは危険です。
税収の増加は喜ばしいことではありますが、現実には景気にマイナスの影響を与えます。過少な見積もりに基づいて過大な税率の引き上げを行い、景気を悪化させ、結果として税収が減り、
景気対策のための支出が増えかねません。正確な予測が無理であるにせよ、途中までの実績を無視するべきではありません。
最近、景気が停滞しているとすれば、財政障害を疑うべきでしょう。
補正予算の編成も必要でしょうが、今年度の
景気対策としては間に合いそうにありません。17年度の消費税率の引き上げは半分の1%にとどめることを決めるべきでしょう。
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