若い正社員の育成

若い正社員の採用基準」で書いたように、若者を正社員として採用する野であれば、新規学卒でも中途採用でも採用基準に大きな差はないとすると、採用した後の育成の方針には差があるのでしょうか。 若年者雇用実態調査では、この点も調べています。 新規学卒を採用した事業所に、新規学卒者の育成方針を聞くと、一位は「長期的な教育訓練等で人材を育成する」(54.2%)、二位が、「短期的に研修等で人材を育成する」(18.7%)、三位が「特別な研修等は行わず、社員自身に任せる」(6.5%)となっています。 中途採用の場合も、この順序は同じです。「長期的な教育訓練等で人材を育成する」(40.1%)、二位が、「短期的に研修等で人材を育成する」(24.9%)、三位が「特別な研修等は行わず、社員自身に任せる」(14.3%)です。 やや、細かすぎるかもしれませんが、この比較をするには、本来であれば新規学卒採用も中途採用もした事業所、新規学卒だけを採用した事業所、中途採用だけをした事業所に分けて集計し、両方を採用した事業所について新規学卒と中途採用に差があるかどうか等も見るべきでしょう。私の計算では、両方採用した事業所が47.5%、新規学卒のみが8.1%、中途採用のみが13.5%になるはずです。調査票を見る限りこのような集計は可能なはずです。 次に、若者を具体的にどのような方法で育成するかということも聞かれています。 新規学卒の場合、一位が、「OJT」(67.6%)、二位が、「OFF-JT」(37.5%)、三位が「自己啓発への支援」(34.9%)、四位が「ジョブローテーション」(24.8%)です。 中途採用の場合も一位は、「OJT」(63.2%)です。二位と三位が入れ替わります。二位が、「自己啓発への支援」(30.1%)、三位が「OFF-JT」(28.5%)、四位は同じで「ジョブローテーション」(19.2%)です。大きな差はありません。 また、育成を行っているのは新規学卒の場合、76.2%、中途採用の場合、73.5%で、これもほとんど差はありません。 結局、正社員の採用、育成については新規学卒、中途採用に大きな差はないといえそうです。この調査では、正社員がどれぐらい勤め続け理ことを期待していますかも、新規学卒、中途採用別に聞いています。残念ながら、まだ集計結果が公表されていませんが、これにも大差なければ、正社員として採用する若者に関する限り、新規学卒と中途採用で大きな差はないということになるでしょう。 一方、正社員ではない若年労働者と正社員である若年労働者の間には、育成について大きな差があります。 労務屋さんが、「選挙公約」で、各党の選挙公約について次のように書かれています。まず自民党ただまあOJTだって職業訓練だと考えればそのさらなる充実は望まれるところで、次に出てくる「若者を応援する企業の支援」というのも「若者にOJTを行い中核人材として育成する企業を応援する」という意味であるならまったく同感です。どうもこの手の若者支援の話は若者を直接支援するより若者を支援する企業などを支援した方が効果的なように思われます。 同感です。付け加えれば、若い労働者を企業が安定して雇い入れ続けることができるように、経済を安定成長に導くことが重要です。幸い、企業の業績は改善しつつあり、若年労働者を正社員として雇い入れないと年齢構成のバランスが悪くなりすぎると考えている企業も多いはずです。これから来年3月までは経済は胸突き八丁ですが、これを乗り切れるよう政府が余計なことをしないことを望みます。 民主党の選挙公約については、辛辣な(?)コメントです。 特に最後の若年者雇用についてはこれだけかという感じですが、学校での職業教育というのは自民党が言うところの「産業界のニーズを踏まえた実践的な教育プログラム」みたいなものを考えているのでしょうか。教育政策のほうでも特段職業教育の話は出てこないのですが…。 民主党もこの調査結果の概況(http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/4-21c-jyakunenkoyou-h25_gaikyou.pdf)を読んで少し勉強したらいかがでしょうか? 人気blogランキングでは「社会科学」の22位でした。今日も↓クリックをお願いします。 人気blogランキング