勘違いをしているのではありませんか?日経新聞飛田臨太郎記者

 日本経済新聞の2014年2月16日の朝刊3面に、飛田臨太郎記者の署名記事、「年金、制度再設計が急務」が載っていました。部分的にですが、変なことが書いてあるような気がします。引用します。 一方、年金支給の土台である公的年金の支給水準はこれから減り続ける。来年4月にも年金の支給額を自動的に減らす「マクロ経済スライド」が初めて発動する可能性がある。 引用終わり。 「マクロ経済スライド」で書きましたが、マクロ経済スライドという仕組みは、本来、消費者物価が上昇したときに、それと連動してあげるべき年の支給額を物価上昇率ほどは上げないというものです。支給額を減額する仕組みではありません。制度の理解が間違っています。 来年4月には現在、特例水準と本来水準の間の差を解消するため、0.5%支給額を下げることになっています。 厚生労働省が作っている「年金額改定の仕組み」を見てください。つまり、27年度からは特例水準の支給は行われなくなります。マクロ経済スライドは、特例水準の支給が行われている間は、適用されないことになっているので、27年度からは適用されることになります。 この場合も物価が上昇していれば、「物価スライド」(物価上昇率より名目賃金の上昇率が低ければ賃金上昇率でのスライド)が行われ、その分支給額は引き上げられます。1.4%消費者物価(名目賃金)が上がれば、物価スライドが1.4%、特例水準の解消が△0.5%、マクロ経済スライドが△0.9%で、合計0%、年金支給額は変わりません。今回は消費税率引き上げに伴っておそらく物価は1.4%以上、上昇するでしょう。問題は賃金です。1.4%上がれば年金額は変わりません。どうなるでしょうか? ついでですが、消費税率引き上げにともなう物価上昇分まで、年金を引き上げるということは消費税引き上げ負担の一部を年金受給者はしないということになります。これが正しいことなのかどうかは、議論の余地があるでしょう。 人気blogランキングでは「社会科学」の27位でした。今日も↓クリックをお願いします。 人気blogランキング