「企業戦士」って言わないで。

読売新聞の報道によると、安倍自民党総裁は、22日午前の自民党役員会で、「企業戦士として世界で戦っていた方々がああいう形で命を落とすことは、痛恨の極みだ」と述べたそうです。さらに「全ての責任はテロリストにある。世界の国々と連携してテロと戦っていく」とも語ったそうです。

日本人相手の話ですから、しかも党の内輪の場ですからいいじゃないかという理屈はあるかもしれません。でも、こうやって報道されています。

戦闘に日本人が巻き込まれ、国際的にも日本の総理の発言が注目されているときです。外国にも報道される可能性があります。お気持ちは十分理解できますが、こういう表現はあまりよくないのではないでしょうか?

企業戦士を英語に訳せば、多分、Cooporate Warriors でしょう。これをアラビア語に翻訳するとどうなるのかはわかりません。しかし、どう訳されても、平和に企業活動にいそしんでいる非武装のビジネスマンというイメージにはならないと思います。悪くすれば、民間企業に雇われた兵士という感じになってしまうでしょう。

地元の目に、異国の企業が、武装した異教徒を兵士としてわれらの国に送り込んできたと映るかもしれません。しかも、これから「戦っていく」とまで言っているのです。

北アフリカは過去の植民地支配に対する強い反感がある地域です。

実態とは全く異なるイメージを与えかねない表現を、わざわざこの時期にする必要があったのでしょうか?こういう表現をしなければならない必然性があるのでしょうか?

今、大事なことは、日本は北アフリカで平和な経済活動をしているのであって、それは相互に利益をもたらすものであること、過去にヨーロッパの国々がやったような植民地支配、収奪などをする気は全くないことを伝えることだと思います。日本のビジネスマンの安全のためには、最低限、誤解を生むような発言はするべきではありません。

それにしても、企業戦士とか、企業活動を戦争みたいにとらえるという発想はいつから、日本で始まったのでしょう?第二次大戦の国家総動員体制に淵源があるのでしょうか?

(追記)

かんべえさんによると、商社マンの世界では、「アフリカでクーデターに遭って、ジープに日の丸の旗をつけて逃げた。検問に合うと、『ジャパン、じゃぱーん』(われわれは害意のない日本人ですよ~!)と叫んだ」とか、映画に出てくるような話がゴロゴロしてい」るそうです。(2013年1月26日かんべえの不規則発言)こう言ったとき、「ジャパンか。お前は日本の企業戦士だな。」と言われたらどうするんでしょう。平和が日本の売りだということを、政治家は理解すべきです。

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