「
民主党の新年金制度案(3) 所得の範囲」の続きで、これが最後です。
15%の保険料で賄われる所得比例年金の
所得代替率はどのようになるのでしょう。
社会保障人口問題研究所の最新の人口推計の「
出生率中位、死亡率中位」で計算してみました。
計算方法と数字の意味について説明しておきます。
シンプルな賦課方式で計算してみました。この方式では
毎年の保険料収入総額=年金給付総額
となります。
保険料総額から計算してみます。保険料を払うのは、20歳から59歳までですから、この人数に平均所得をかけ、その15%が保険料総額です。ここでは平均所得を100としておきましょう。なお、この所得は働いている人も働いていない人も含めた平均値ですから、働いている人だけの平均所得よりも低くなります。
仮に5,000万人いたとすると、5,000万×100×0.15=75,000万となります。
保険料総額=年金総支給額ですから、この保険料総額を受け取る65歳以上の人数で割ると一人当たり平均年金額になります。この人数を、仮に3,000万人とすると、上の例では、
75,000万÷3,000万人=25
となります。
平均所得が100で15は保険料として支払いますから、保険料を払った後の手取りは85です。
25を85で割ると0.294、約29%が
所得代替率です。働いている人だけとると、平均所得は高いので、たとえば140とすると、保険料支払い後の平均所得は125となり、これで25を割ると20%になります。
所得代替率(千人、%)年 | 20から59歳人口 | 65歳以上人口 | 所得代替率 |
---|
2010年 | 65,529 | 29,484 | 39.2 |
2020年 | 60,493 | 36,124 | 29.6 |
2030年 | 54,554 | 36,849 | 26.1 |
>2040年 | 46,146 | 38,678 | 21.1 |
2050年 | 40,341 | 37,676 | 18.9 |
2060年 | 35,346 | 34,642 | 18.0 |
実際には現在ある積立金も取り崩すでしょうし、現在の年金制度による給付もあります。ここで書いた例は、純粋に賦課式で15%の保険料と決めた時のものです。
それにしても
所得代替率は50年間で、39%から18%に下がります。最低保障年金で補うとしたら、相当の財源が必要でしょう。保険料を15%で固定せずに、徐々に引き上げるか、最初に高めに設定して、保険料収入を全額給付に回さず、積み立てておいて、少しずつ取り崩すほうが現実的だと思います。
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