学歴と仕事

非正規労働者の結婚」に続いて、第8回成年者縦断調査(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/judan/seinen11/index.html

の紹介です。

さて、大学関係者必見の図があります。

図8です。この図は左右二つの組み合わせです。左の図は、第1回が正規のうち第8回も正規の割合です。中間の年はどうであったかはわかりません。左の図は、第1回が非正規のうち第8回で正規となっている割合です。こういう図はこれまでも出されていたのですが、今回はそれが学歴別に示されています。

正規から正規の割合も、非正規から正規の割合も、いずれも学歴が高いほど、高くなる傾向があります。これは男女共通です。

まず左側で男の場合を見ましょう。第1回に正規であった男性が第8回も正規である割合は、大卒86.3%、高卒79.3%、中卒74.6%です。大卒と高卒の間には7ポイントの差があります。また、高卒と中卒の間では4.7ポイントです。過去に正規であったという点では同じでも、学歴が高いと現在も正規である率が高いということになります。

次に、女性です。女性でも、大卒61.8%、高卒56.7%、中卒26.3%と学歴が高いほど正規→正規の割合が高くなっています。大卒と高卒の差は5.1ポイント、高卒と中卒の間では30.4ポイントの差です。

表8を見るとそもそも第1回の時点で学歴が高いほど,正規の割合が高いことも分かります。

つまり、学歴が高いほど若いときに正規になりやすく、しかもその後も正規になる率が高いということになります。

これが大学や高校のの入学試験に受かるという時点でスクリーニングされているのか、大学、高校教育の成果なのか、大卒の実力ではなく肩書きがきいているのか、あるいは正規を続けたい人が大学に入ってきているのかまでは分かりませんが。

では、非正規であった人が正規になった率を見てみましょう。右の図を見ると、男性では大卒56.3%、高卒31.9%、中卒33.9%です。大卒と高卒の間には24.4ポイントという大きな差があります。一方、高卒と中卒の間では逆転現象が見られますが、水準には大きな差はありません。大卒と高卒、中卒の差は歴然としています。

女性はどうかというと、大卒26.6%、高卒11.6%、中卒5.1%です。大卒と高卒の間では15ポイントの差があります。絶対水準では差は男性ほど大きくありませんが、大卒は高卒の2倍以上の率です。

この結果が大学進学率が今ほど高くなかった中高年者に見られるならわかりますが、同じ年齢の中で大卒の割合が高くなり、大卒が珍しくなくなっている若い世代でもこれだけの差があるのです。

大学(教育)の職業的意義はいろいろ議論があるようですが、正規、非正規の結果を見れば学歴には何らかの意味があると言えるでしょう。

こういう実態がある以上、高卒、中卒の若者には支援や配慮があっていいのかもしれません。

学歴を議論すると大卒対高卒に関心が向かいがちですが、高卒と中卒の差にも注意していただきたいです。かなり差があります。高校中退は中卒です。経済的理由で高校に行けなかったり中退すると不利です。支援が必要でしょう。また、高校生活が面白くなくて中退しようかと思っている高校生は、少し考えてほしいです。高校を中退することを軽く考えないほうがいいです。

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