平成20年版働く女性の実情にM字型カーブの推移が載っています。
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2009/03/dl/h0326-1a.pdf
これを見ると、まず、底が浅くなり、そしてその底が左側に移り,最後に底が広がって鍋の様な形からフライパンの様な形に変わってきています。そして,左側の山は少し左に動き、そして高さが高くなってきています。
「
クリスマスケーキは遠く」なったことはM字型カーブにどのような影響を与えているのでしようか?ちょっと試算をしてみました。
まず、下の表の左側、「クリスマスケーキ」の欄は、こんな女性のライフコースを仮定して作ったものです。
23歳までは,働く。
クリスマスイヴの24歳で結婚して、半分が仕事を辞める。
クリスマスの25歳で子供を産んで、仕事を続けている割合は30%に減る。
26,27歳の間は変化なし。
28歳、子どもが3歳になる頃から働き始める。28歳では40%が、29歳では50%が働く。そして、32歳(子どもは8歳)で80%が働く様になり、この状態が34歳(子どもは10歳)まで続く。
以後、1歳年を取る毎に5%ずつ働く割合が減っていく。
40歳(子どもは15歳)で働く割合は50%になり、それから50歳までずっとこの割合が続く。
女性が100%このコースを取ったとしたら、年齢別に見た働く割合は表の左側の数字になります。
これをグラフにするといいのですが、どうもできないようです。まあ、左側の山が低い昭和54年のようなM字型カーブになります。
さて、このライフコースを、1歳ずらしてみます。つまり結婚年齢を一歳年上にして、結婚した場合の働く割合は変えないことにします。また、子供を産むのも結婚してから1年目に固定します。こうすると、一番低い30%は26歳から28歳までになります。
これをずっと続けていって,結婚年齢が24歳から33歳までにしてみます。そして24歳で結婚する女性の割合を10%、25歳も10%、26歳も,として33歳まで全部10%ずつだとします。この仮定の下で年齢別に女性の働く割合を計算すると、表の右側、「多様化」の欄の数字になります。
働く女性の割合(%)年齢 | クリスマスケーキ | 多様化 |
---|
23歳 | 100 | 100 |
24歳 | 50 | 95 |
25歳 | 30 | 88 |
26歳 | 30 | 81 |
27歳 | 30 | 74 |
28歳 | 40 | 68 |
29歳 | 50 | 63 |
30歳 | 60 | 59 |
31歳 | 70 | 56 |
32歳 | 80 | 54 |
33歳 | 80 | 52 |
34歳 | 80 | 55 |
35歳 | 75 | 59 |
36歳 | 70 | 63 |
37歳 | 65 | 66 |
38歳 | 60 | 68 |
39歳 | 55 | 69 |
40歳 | 50 | 69 |
41歳 | 50 | 67 |
42歳 | 50 | 64 |
43歳 | 50 | 61 |
44歳 | 50 | 58 |
45歳 | 50 | 55 |
46歳 | 50 | 53 |
47歳 | 50 | 52 |
48歳 | 50 | 51 |
49歳 | 50 | 50 |
50歳 | 50 | 50 |
グラフにすると分かるのですが、二つを比べるとこんなことが分かります。
1 底は浅くなります。
○ クリスマスケーキ 30% →多様化 52%
2 底が左側に移ります。
○ クリスマスケーキ 26、27歳 →多様化 33歳
3 最後に底が広がって鍋の様な形からフライパンの様な形に変わっています
4 左側の山は左に動きます。
○ クリスマスケーキ 32,33歳 →多様化 39,40歳
5 そして左の山の高さは低くなっています。
○ クリスマスケーキ 80% →多様化 69%
要するに、左の山の高さが低くなっていることを除くと、最初に書いたM字型カーブの変化のほとんどが再現できます。
再現できないのは、左の山の高さが高くなっていることだけです。
政府のいろいろな施策、企業の対応、夫婦の努力によって結婚したり子どもを生んだりした女性が仕事を続けられるようになってきたのだろうとは思います。しかし、女性の生き方の多様化によってM字型カーブが変化したことも事実でしょう。政策効果と生き方の変化の効果を区別することが大事です。
なお、私は左の山が高くなったことの方が大事であるような気がしています。
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