補完性の原理 その2

補完性の原理」で紹介した回勅では、直接にせよ間接にせよ選挙を通じて選ばれた政府だけにすべての権限と責任を集中するのではなく、様々なアソシエーションの活動を守ることによって社会は良くなるという考え方が示されています。 様々なアソシエーションは、ローカルなレベルで直接にせよ間接にせよ選挙を通じて選ばれた政府を意味しているのではありません。この後の部分で出てくるのですが、労使の問題であれば、労働者や使用者の団体、あるいは労使で構成された団体が解決に当たるべきだとされています。地方政府に責任と権力を集中し、当事者を排除する考えなど微塵もありません。 当事者の話し合いの場を政府がもうけたり、地方に義務づけたりするのは、各種のアソシエーションが活動できる場を確保するものなので、この回勅の補完性の原理から言えば、大いに望ましいことでしょう。当事者の団体を排除するなど、補完性の原理からは出てきません。障害者やその支援者の団体の発言の機会を奪ったりするのは、この補完性の原理に反します。 ローマから遠い極東の島国にも労働問題に関して三者構成の審議会があれば大いに結構、そのメンバーがカトリックであればなお結構というのが教皇の立場でしょう。会議を始める前に司教さんを呼んで、「神が我らが正しい決定に至るよう力を与えてくださるようお祈りしてください。」と頼めば、きっと断られないと思います。 人気blogランキングでは「社会科学」の30位でした。↓ここをクリック、お願いします。 人気blogランキング