子ども手当の所得制限 その2

子ども手当の所得制限」で書いた制限のコスト以外にもいくつか理由があります。 以下の議論は、所得制限の対象となる所得は世帯所得か両親の所得であるという前提です。 まず、今年の給付をするときには、今年の所得は未だ決まっていませんし、分かってもいません。前の年の所得を基準にするほかないでしょう。で、こんなことが起こってしまいます。 前の年に妊娠して、ボーナスをもらった後、年末に辞めたり、区切りのいい3月末に辞めた。今年、赤ちゃんが生まれた。前の年の所得はそれなりにあったけれど、今年は、辞めて給料はなくなっているので、所得はあまりない。でも、前の年の所得が高かったので所得制限に引っかかり、こども手当はもらえない。「あんまりだ~。誰が所得制限なんて決めたんだ。政府のばかやろー。」窓口の職員はさぞ大変でしょう。 ちなみに厚生労働省の21世紀出生時銃弾調査によると、子供を産む1年前に「常勤』だったお母さんが出産の半年後にも「常勤」だった割合は、50%弱です。(データはここの図3-2にあります。⇒http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/syusseiji/06/kekka1.html) 制限の額を例えば800万円にします。790万円の方はもらえて、800万円の方はもらえません。こどもが二人で60万円とします。もらえた790万円の方の収入は790万円+60万円=850万円、もらえなかった800万円の方は800万円のまま。逆転してしまいます。手当の額が少なければ、「まぁ、仕方がないか。」で済まされますが、額が大きいので笑い事では済まされません。「不公平だ~。誰がこんな制度を作ったんだ。政府のばかやろー。」窓口の職員はさぞ大変でしょう。 ちなみに厚生労働省の毎月勤労統計によると、平成20年のフルタイム労働者の月当たりの所定内給与は30万円を少し超える水準です。60万円だと2月分ですから相当な大きさです。(データはここの第4表にあります。⇒http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/20/20-2fr/mk20fr.html) また、所得の把握は税務のデータで行うことになると思いますが、そのデータが後で修正された場合、いったん支払った手当を回収しなくてはなりません。これは大変な手間になります。 こういった問題にこども手当の制度内で対処することは不可能ではありませんが、コストが相当かかります。 コストのかからない解決策は、所得税地方税の課税対象にすることです。源泉徴収票の発行以外に、特別なコストはかからないはずです。 この議論をするなら、地方自治体、特に市町村の意見をよく聞くべきです。 ここをクリック、お願いします。 人気blogランキング 人気blogランキングでは「社会科学」では33位でした。