まだだいぶ先にある天国

いつも生きのいい文章で楽しませてくれる金持ちまっしぐらの中年金融マンぐっちーさん。

私が「景気回復と労務管理 その2」で書いたことを、ぐっちーさんが書くとこんなに生き生きした文章になります。負け惜しみを言えば持ち味の差ですが、まぁ、才能の差ですね。

「これらのサービス業を見ると、マニュアルはこれ以上進めないほど高度なものですし、原材料仕入れから何から何までもう絞れないぞうきんのように絞ってある。そこに昨今の地価高騰による賃料の上昇、そしてなによりこれ以上正社員を転換できない所まで増やしたアルバイトの賃金高騰(あげないと人が集まらない)、一方で勝手に『私の店』だけ値上げできない訳ですからそのしわ寄せは一気にその店そのものに集中する訳です。このまま行くとその企業そのものが撤退を繰り返す羽目になる・・・せっかくのこれまでの進出戦略が水の泡になりかねない。。。。というところまで切羽詰ったといっていいでしょう。

コンビニ、ファーストフード、ファミレス、家電量販店からTSUTAYAにいたるまで、更にホテル、パチンコ、病院!!まで含めて、安い人件費とバブル崩壊による比較的安い賃料を経営のベースにしてきた所はすべて危機的状況に瀕しており、要は人件費と家賃の高騰を価格転嫁できずに四苦八苦するという状況になっています。いづれも価格の決定権が本人にないところがポイントで、勝手に自分の店のハンバーガーだけ値上げする訳にはいきませんし、病院だって勝手に薬の値段をつけるわけにはいきません。

さすがにユニクロは先手を打ってさっさとアルバイトを正社員にしてしまいました。今から正社員にするよ、といっても引く手あまたですからさしてありがたみはないのですが昨年やった所がさすがですね。

実はこれらのコストアップ要因はこれからいよいよ熾烈になってきます。アルバイトの現場は本当に人手不足、今までパチンコやでハードワークしてたような人もより楽な分野に転職しますので、末端の企業は本当につらいことになります。先日つぶれた大手パチンコ企業もまさにこの賃料と人件費の高騰を吸収できずにやられました。せっかっく景気がよくなったと思ったら今度はこれですからたまったものではありませんね。JRのキオスクなどはすでに人手不足で相当の店を閉鎖しています。

実際は抜本的に外国人労働者などの雇用対策を考える必要がありますが、これには政府の後押しがどうしても必要です。」

すぐそこにある地獄」より。

現状は同意できますし、見通しもこのままいけばそうなるかなぁと思うのです。でも、結論というか、対策がどうも。

今まで、正規雇用、あるいはせめて安定した雇用の場がなくて、困っていた人が大勢いたわけです。そういう人がいることによって、便利な生活ができた人も大勢いたことは事実なのですが、みんな景気の回復を待ち望んでいたのです。政府が成功したのかどうかは分かりませんが、ようやく景気が良くなってきた。だからパートやアルバイトが人手不足になった訳です。そして、安定した仕事に就ける人が増えてきたのです。ようやく地獄から抜け出せた、天国への道が遠くに見えてきたと思っている人が、大勢いるはずです。

逆に言えば、こういう風にするために今までやってきたのですから、「抜本的に外国人労働者などの雇用対策を考える必要」などないんじゃないでしょうか?

抛っておけばいいと思います。政府が余計なことをする必要はありません。賃金が上がり、賃料が上がれば、それに企業は順応していきます。できなければ消えてなくなってしまうのですから。バブル後、90年代の不況が異常事態だったのです。その異常事態が終われば、それに対応する。できれば事前に変化を察知して、手を打っておく。それが優良企業でしょう。

異常事態にうまく適応していた産業、企業を、異常事態が終わってからも、そのままの姿で残そうとするのは、何か不健全です。

以前にもこんなことはありました。繊維産業が人手不足になったとき、外国人の若い女性を入れていたら、一人当たりの給料は変わらず、ちょっとだけこれまでよりいい製品は売れませんでした。冷蔵庫、洗濯機、テレビ、などちょっと高かったものをみんなが買えるようになったから、日本の発展があったのです。

企業の適応力を信じましょう。

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