民間活力を生かすには

インセンティブスキームに対するご質問にお答えして」で、「民間会社は利益を求めて行動するものであり、それが企業の活力の源だという考え方があるように思えます。であれば、民間の活力を生かすためには、『国のセーフティーネットの一部を担うという大義』や『公器としての理念』を持っていることという条件を付け加えたりせずに、企業は利益を基準に行動するという前提に立って、インセンティブスキームを考えるのが本筋です。」と書きました。

民間会社が他の企業と競争して利益を得るためには、他の企業と同じことをしていてはだめで、他の企業にはない何かが必要です。

他の企業では思いつかないような製品を作る、他の企業ではできないようなコストダウンをする、他の企業にはまねのできないような販売力を付ける、他の企業ではできないようなブランドイメージを作るといったものが考えられます。

これらは、同時に、同じ社会にいる他の人々にも利益をもたらします。民間活力のいい面です。こういうことを期待して制度を抜本的に変えたのが介護です。公的機関が提供していたサービスを民間企業が提供する事にして、企業を利用者が選べるようにし、費用は利用者と国が分担するという仕組みです。これによって自分良くなったと聞いています。

しかし、民間活力にはダークサイドもあるわけです。他の企業にはない能力として、

1 どこまでなら法令に違反しても見つからないで済むかを見極める能力

2 行政に違反を発見されても、実質的に処分を免れる方法を見つけだす能力

というのもあるわけです。こういう能力を発揮する企業が登場すると、とんでもないことが起こります。

民間活力を生かそうと思うなら、このような企業に対抗するために十分なモニタリングを行い、付け入られる隙のない法令を(行政の広範な裁量が認められにくい中で)作る必要があります。

民間活力を生かすためにも、このようなシステムは必要なのです。あまりスローガンに頼ったりせず、クールに企業を見つめる目が必要です。

人気blogランキングでは「社会科学」の42位でした。今日も↓クリックをお願いします。

人気blogランキング