1次同次の生産関数

定義 ある関数F(X、Y)の独立変数をすべてm倍したとき、その関数の値がmのn乗になれば、この関数はn次同次という。n=1の時、一次同次です。 Fが生産関数であるとき、Fは1次同次の生産関数です。 特徴 1次同次の生産関数は、いくつかの特徴を持っています。 生産関数を Y=F(K、L)   (1) とします。 特徴1 生産関数が1次同次であるとき、労働の平均生産物Y/Lは、労働1単位当たりの資本K/Lのみの関数であり、資本の平均生産物Y/Kは、資本1単位当たりの労働L/Kのみの関数である。 証明 Y=F(K、L)をLで割る。 Y/L=F(K/L、L/L)   (1次同次であるので)    =F(K/L、1) F(K/L、1)=G(K/L)とすると、これは Y/L=G(K/L)   (2) 以下では、Y/L≡y、K/L≡kと表記します。 資本の平均生産物についても、全く同じです。 経済学的な意味 労働の平均生産物も、資本の平均生産物も、資本と労働の比率だけの関数であり、これが一定である限り、生産規模に関わらず不変です。 この経済学的な意味を次のように言い換えることもできます。 特徴2  生産関数が1次同次であるとき、労働の平均生産物Y/L資本の平均生産物Y/Kは、資本K、労働Lのみの関数であり、この関数はゼロ次同次です。 証明 Y/L=H(K、L)とし、資本K、労働Lをm倍します。 Y/L=H(mK、mL)    =G(mK/mL)    =G(K/L)    =m^0×H(K、L) 資本の平均生産物についても、全く同様に証明できます。 特徴3 生産関数が1次同次であるとき、労働の限界生産物Y/L、資本の限界生産物Y/Kは、資本K、労働Lのみの関数であり、この関数はゼロ次同次です。 は、偏微分記号です。 証明 次ぎの二つ(3)と(4)が成り立つのを利用します。 k/K=KL^-1/K =L^-1 =1/L  (3) dk/L=KL^-1/L =-1×KL^-2 =-K/(L^2)  (4) 資本の限界生産物については、こうです。 Y/K =L×(Y/L)/K =L×(Y/L)/K =L×G(K/L)/K  (2)式から =L×G(k)/K =L×G(k)/k×k/K =L×G(k)/k×1/L   (3)式から =G(k)/k (5) このように資本の限界生産物はkのみの関数です。 労働の限界生産物については、こうです。 Y/L =L×(Y/L)/L =Y/L+L×(Y/L)/L =G(K/L)+L×(Y/L)/L  (2)式から =G(K/L)+L×G(K/L)/L =G(k)+L×G(k)/L =G(k)+L×G(k)/k×dk/L =G(k)+L×G(k)/k×{-K/(L^2)}  (4)式から =G(k)+G(k)/k×(-K/L) =G(k)-k×G(k)/k  (6) 労働の限界生産物もkのみの関数です。 特徴4(オイラーの定理) 資本と労働に対して、その限界生産物が支払われていれば、生産物はすべて資本と労働に分配され、過不足を生じない。(超過利潤は発生しない。) K×Y/K+L×Y/L ={K×G(k)/k}+[L×{G(k)-k×G(k)/k}]   (5)、(6)式から ={K×G(k)/k}+{L×{G(k)}-L×k×G(k)/k}] ={K×G(k)/k}+{L×{G(k)}-K×G(k)/k}] =L×G(k) =Y  (2)式から 人気blogランキングでは「社会科学」の42位でした。今日も↓クリックをお願いします。 人気blogランキング