2006年の貿易収支黒字8兆円をキープ

11月の貿易収支黒字大幅増加」で「この調子で行くと2006年の貿易収支の黒字は7兆円代後半、あるいは8兆円を超す水準になりそうです。相当低い水準に戻ってしまうものの、2001年の6兆6千億円よりは、大分ましと言うことになります。」と書いたのですが、どうやら8兆円をキープしたようです。 輸入の伸びが10兆2千億円(17.9%)と輸出の伸びの9.6兆円(14.6%)を上回りましたが、黒字幅は8兆1千億円とどうにか8兆円台を維持しました。速報なので修正があり得ますが、おそらく大丈夫でしょう。 2007年はどうなるでしょうか? 2006年の原油高は収まってきています。2006年で一番高かったのは9月で1リットルあたり52.9円でした。12月にはちょうど10円安い42.9円です。2005年の12月は41.2円でしたから、1.7円、4.2%高いだけの水準になっています。 2006年の平均では、46.7円でしたから、もし12月の水準が維持されれば2007年は原油安の年になります。 最近の円安の効果は、2007年前半は輸出にプラスに働くものと思われます。 すると、2007年の前半は、貿易収支の黒字が拡大するような気がします。2006年の前半では、3兆4千億円の黒字でした。
貿易収支バランス(百万円、%)
バランス増加額増加率
2000年10,715,775
2001年6,563,711-4,152,064-38.7
2002年9,881,4503,317,739+50.5
2003年10,186,327304,877+3.1
2004年11,953,3431,767,016+17.3
2005年8,707、152-3,246,191-27.1
2006年8,094,776-612,376-7.0
2007年
注 輸出は、FOB価格、輸入はCIF価格です。輸出入には国境の間を輸送しなければなりません。このため、運賃がかかります。また、運送の際の事故に備えた保険料もかかります。FOB価格には、このような運賃、保険料、輸入関税を含みません。従って、輸出品を日本の港(又は空港)まで運んで引き渡したときの価格です。一方、輸入に使うCIF価格は、日本の港(又は空港まで)運ばれた輸入品の引き渡しを受けるときの価格です。運賃や保険料、輸入関税を含んでいます。輸入もFOB価格にすると、相手国の港(又は空港で)受け取るときの価格で計算することになります。国境間の運賃、保険料の分だけ安くなります。 この表で国際収支統計では、輸出にも輸入にもFOB価格を使っています。従って貿易統計と国際収支統計を比べると輸入額は貿易統計の方が多めに示され、貿易収支の黒字は少な目に示されています。 貿易統計を紹介している理由は二つあります。 まず、発表が早いことです。もう一つは、日本国内の雇用への影響ではこちらの方がいいと思われるからです。というのは、海上交通などには、日本人があまり従事していないからです。
輸出(百万円、%)
輸出額増加額増加率
2005年65,656,544
2006年75,253,0709,596,52614.6
2007年
輸入(百万円、%)
輸入額増加額増加率
2005年56,949,392
2006年67,158,29410,208,90217.9
2007年
原油、粗油の輸入(百万円、%)
輸入額増加額増加率
2005年8,823,323
2006年11,527,5492,704,22730.6
2007年
原油、粗油の輸入額は、30.6%増加しています。量は0.8%減少です。1リットルあたりの単価が33.5円から46.7円へ11.3円、31.8%高くなっています。 人気blogランキングでは「社会科学」の40位でした。今日も↓クリックをお願いします。 人気blogランキング