児童手当 その9
議論になっていた児童手当の増額で、動きがあるようです。
ねっしーさんのお話では(http://blogs.dion.ne.jp/mirainosharoushi/archives/4640513.html)3歳未満児に限って1.5倍から2倍にする案があるようです。現在は、一人目、二人目が月5,000円、3人目は1万円です。すると仮に二倍になると、一人だけなら1万円、二人なら2万円、3人なら4万円ということになります。
さて、この問題は、負担する側(それは誰でしょう?)の本音としては、これで少子化を止められるなら考えてもいいが、そうでないならあまり意味がない、出したくないということではないかと思います。
実は、金銭給付はあまり効果がない、それよりも女性が仕事と家庭を両立させられるような措置の強化の方が有効だという意見があります。
実は、金銭給付を増やした場合の効果はやってみないと分からないのです。現在の金額とあまり変わりがなければ、現在とあまり変わらないだろうとは予想できるのですが、大幅な増額をしたときの効果が現在と大きく変わるかどうか、実績がない以上、何とも言えないのです。「「子ども手当 その3」について 後編」で書いたように、いろいろ調査をしてみても、誰が見ても異論のない結論は出しにくいのです。
何かいい事例がないかなと思っていたとことdojinさんのブログ(http://d.hatena.ne.jp/dojin/20061202)の記事とコメント欄を拝見したところ、面白い事例が出ていました。以下エントリーの引用です。
このケースワーカーさんによれば、(生活保護を受けている)母子家庭の子供の数は平均的にみてもけっこう多いそう。子供が4人、5人というのも珍しくないのだそう。これが事実だとしてもそれが母子加算のせいかどうかは現時点では何ともいえないが、生活保護を受けているお母さんの性行動から説明するのはおそらく無理だろうから、母子加算の影響を受けていることが考えられる。
引用終わり。()内は、誤解を除くため私が付け加えました。
この事例は、高額の金銭給付が、出産に大きくプラスに働いている可能性を示唆しています。
つまり、高額かつ支給年齢の上限が高い手当を作ると子供が産まれるという可能性があるかもしれないということです。
ちなみに母子加算は1級地で月額23,310円(平成15年)、18歳になって最初の3月までまで支給です。こちら(↓)をご覧下さい。
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2003/11/s1118-3b.html
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2003/11/s1118-3b6.html)
この母子加算の廃止が現在検討されています(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/10/txt/s1027-2.txt)。もし廃止後に生まれる子供の数が減れば、効果があったと言うことになります。貴重な社会実験です。
さて、上で引用したdojinさんのご意見には、いくつ補足をしておきます。
まず、生活保護を受けている母子世帯の子供の数の多さです。これが母子加算を含む生活保護を受けている結果なのか、子供が多くて生活保護の基準に合うようになっているのか、どちらかよく分かりません。つまり子供が多いから生活保護を受けているという可能性もあります。生活保護の担当者も乳飲み子を抱えた女性が申請に来ると断りにくいということがあるかもしれません。
次に、「お母さんの性行動から説明するのはおそらく無理」というご主張については、広い意味での生活行動と貧困の間には関係がありそうですから、「お母さんの性行動だけから説明するのはおそらく無理」とした方が良さそうです。また、性行動だけではなく中絶への態度も影響しているはずです。
また、子供の数が増えたとき、増えるのは母子加算だけではないはずです。他の項目も増えるでしょう。ですから、「母子加算も含めた手当の影響を受けていることが考えられる。」とした方がいいでしょう。生活保護の体系についてはこの資料(↓)の2ページを参照してください。
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2003/12/dl/s1216-5a.pdf
ところで、生活保護を受けている母子世帯とそうではない母子世帯で子供の数がどの程度違うのか、これが基本なので調べてみたのですが、見あたりませんでした。
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