貯蓄から投資へ

「貯蓄から投資へという小泉政権の金融構造改革は足踏みが続いている。」http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/shasetsu/news/20060819k0000m070139000c.html

19日の毎日新聞の社説です。

明らかに、「貯蓄から投資へ」という改革を促進すべしという立場からの主張です。では、なぜそれが必要なのかといえば、書いてある理由はただ一つです。

貸し渋りなど銀行の資金仲介機能が弱体化していく中で経済を再生するためには、銀行以外の資金供給ルートを強化する必要があった。」

過去はそうでしょう。今もその必要があるのでしょうか?

株式や社債で資金を調達したい企業があるなら、魅力ある株式、社債を発行すればいいだけのことでしょう。特に、日本経済にとって、銀行借り入れより株式や社債での調達を政策的に誘導しなければならない理由があるように思えません。

個人の資金を念頭に置いているのでしょうが、引退して、それほど収入もなく、資金にも限りがあり、生活状態から見てあまりリスクをとらないで資金を運用すべき人も多いはずです。

そういう方の資金を投資に誘導するため、預金に比べて配当への課税を軽減したりする必要は全くありません。リスクが高いなら、それを補うべきは発行者であって、国庫、納税者ではありません。

銀行預金をするより、株や社債を買う方が日本のためにいいのだというような宣伝をすべきではありません。

社説として書くなら、金融市場(銀行預金市場も含みます。)での情報の非対象性の解消とか、不当な慣行の排除とか、きちんとしたルールの整備、監視によって金融市場を正常化することでしょう。

それができれば、貯蓄であろうが投資であろうが市場参加者が自分で決め、市場で条件を決めていけばいいことです。新聞社が安易にスローガンを唱えるべきものではありません。

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